絶滅危惧種“公衆衛生”をエンパワメント~第76回日本公衆衛生学会総会 in 鹿児島~

   

10月31日から11月2日は、年に一度の日本公衆衛生学会総会。今年は鹿児島市での開催で76回目を迎える。公衆衛生を専門としてきた私にとって、この学会総会は最も長く親しみある機会で、そして数多くの友人と再会できる場となっている。愛媛県行政から離れ、医学部付属病院に戻ってからも、公衆衛生を専門だと言い続けられるのも、このお陰と感謝している。しかし公衆衛生は、”予防““疫学”といった狭義の分野に追いやられ、医療や福祉を包含する、憲法にも明記されたヘルスプロモーション理念に基づいた、地域づくりの根幹である“公衆衛生”の本来の意味が忘れ去られようとしている。当学会に参加しても、勢いを盛り返す公衆衛生の将来を感じることが難しくなっている。今の私は、この場ではなく、むしろ医療や福祉そして地域において、公衆衛生をアピールし展開していくことが使命だと、自分を納得させている。公衆衛生の担い手は、公衆衛生を専門とする方々ではなく、広く地域に関わる方々に継承していただきたいと思うようにしている。

しかし今回の学会では、本来の公衆衛生を議論できる 2つのシンポジウムの座長をさせていただくことになり、モチベーション高く関わることができたことに、心から感謝している。

10月31日(火)15:10~16:40 シンポジウム14「「元気づくりシステム」の市町村導入による人材育成~過去から未来へサステナブル的に引継ぐ市町村公衆衛生関連職員の人材育成~」 座長:大平利久氏、櫃本真聿 演者:川上和幸氏、小林加苗氏、菅野恭子氏

議論のポイントは、運動能力を保持するための介護予防ではなく、元気高齢者を育成支援する公民館活動支援が重要であること。ささやかな介入によって、やらされる住民でなく、セルフケア向上や地域力を発揮できる地域づくりにつながるものであること。そして、社会的弱者ケアにばかりを見ている保健師等行政の“後追い的な”関わりが、元気高齢者へシフトすることによって、地域づくり・まちづくりへのモチベーション向上へ、一気につながることが発見できたこと。

11月2日(木)10:40~12:10 シンポジウム42「イノベーション・オブ・パブリックヘルス~経営学からのアプローチ~」 座長:横井豊彦氏、櫃本真聿 演者:勝原  裕美子氏、吉野直人氏、北川信一郎氏

議論のポイントは、経営学から学ぶべき公衆衛生の創生を図るポイントは、課題解決に終始せず、目指すべき目的をイメージして、その共有のもと実現に向けたベクトルに、互いに乗っていることを確認しながら、現場が臨機応変に対応できる能力を活かして、住民力や地域力を引き出(エンパワメント)していくことであった。

友人や大先輩方にお会いできて、一杯交わしながら議論ができたことも、大きな収穫だ。しかしこの丸々一週間、溜まっている資料整理や原稿書きに全く手を付けなかったため、その付けをひしひしと感じている。

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