地域で広がる課題解決型から目的達成型の議論~滋賀県医療福祉推進アドバイザーのこの2年間の成果~

   

【第11回甲良町高齢者地域ケアネットワーク会議】

2月16日(金)10:00~12:00、甲良町保健福祉センターにおいて、保健福祉関係者が集まる会議に参加しました。当町の地域包括ケアセンターでは、高齢者地域ネットワーク会議を年12回・毎月実施されています。町内の介護支援専門員や介護保険サービス事業者、保健所、社会福祉協議会、湖東地域リハビリ推進センターPT・OT、行政関係者ら参加し、事例検討や地域課題の検討をされてきています。今回お招きいただいたのは、せっかく毎月開催されている貴重な会を、課題解決型に留まらず、目的達成型の町の将来を見据えた話し合いに場となるようアドバイスすることです。
この時のテーマは、町民のニーズ調査の“困りごと”第一位である、病院や買い物、デイケアやサロン等への「移送支援」についてです。「町には支援サービスが結構あるが利用されていない。しかし移送支援の利用者が増えることがアウトカムではない。要はエンパワメント、意欲の向上を図ることが一番。通院や買い物など、より利用しやすい移送支援体制の充実も重要だが、むしろ住民同士が協力して、デイケアやサロンなどに、楽しみや意欲をもって、連れだって動けるようになるなど、支え合い文化が醸成されることが大切だ。」といった、目的志向の話し合いが行われたことは、大変意義深いと感じました。またボランティアの育成については、そもそもボランティアとは?から始まり、この言葉の持つ誤解を払拭しその真意を伝えることの大切さや、行政等とのボランティアの関係性の在り方など、住民自身がまちづくりに参画できる取組みについて言及できたことも成果だと思いました。今後この会が、課題解決に留まらない目的達成を意識した話し合いの場となるよう、互いに確認できる機会となりました。

【医療・福祉から見る竜王町のこれからのまちづくりについて学ぶ会】

2月16日(金)14:00~16:00、竜王町役場において、ケースメソッドを用いた研修会が開催されました。課題解決型から目的達成型への思考改革や、それを実現するディスカッションの進め方を取得することを目的とされています。県の主催したケースメソッド研修会を受講したスタッフが自ら3事例を作成し、さらに主体的に企画運営する形式で、私はそのスーパーバイザーとして参画するスタイルです。各地域は、それぞれの自主的な運営に、私を活用しようと努めており、従来のお任せ講演や指導とは、今年度は明らかに変化してきています。3つの事例を用いて、考え方やディスカッションの仕方を、段階的にレベルアップしようとする企画です。1事例目は、現状の数値や目標値などを散りばめた、よくある課題解決に陥りやすい内容で、ファシリテーターも、目的達成型検討をあまり意識しないで、比較的自由に進めていただきましたが、案の定、解決のためのアイデア勝負が先行する話し合いとなってしまいました。2事例目は打って変わって、今度は“何のために”へ意識が向くような記載内容で、ファシリテーターも、それを意識して進めたところ、一時例目とは全く異なる、目的に振り返りその共有を図るような話し合いになっていました。事例の紹介の仕方にずいぶん左右されることを私自身気づかされました。3事例目は私のアドバイスなしでやってみますということで、今後竜王町での会議や研修の場に、ケースメソッド的検討がますます活用されていくことを期待せずにはいられませんでした。

【信楽中央病院 病院の在り方妄想会】

2月16日(金)17:30~ 信楽中央病院にて、将来の病院の在り方や目指すべき地域づくりについて、“妄想する会”が開催されました。昨年11月におうかがいし、院内の話し合いの場に参加させていただきましたが、病院のスタッフそれぞれが、経営を何とか立て直そうと懸命に取り組まれているのですが、課題解決に終始しているため行き詰まり、疲弊している状況が否めませんでした。その折、課題解決型から目的達成型に切り替えませんかと提案し、思い切った妄想をしましょうということになりました。それを受けて、北川貢嗣副病院長主導で、お約束通り今回の企画が実現したのです。「病院のガバナンスが重要 住民に周知 理解を深める!」「住民との互いの信頼関係の向上! 信楽病院をすべての住民が必ず経由する!」「病院の外来を住民(高齢者)で日常的に一杯にする」「病院ボランティア育成支援」
「病気をきっかけに意識向上が図れる関り」「正しい適切な情報発信する。ここに来ればなんでも分かる」「地域にアウトリーチをかけて、子供教育への参画し、生きる力の養成に病院として関わる」「元気高齢者の育成支援を図る病院としてアピール、元気高齢者で地域をいっぱいにする」「健康意識を変えることが大切。健康とは病気を治すことではなく 何かをしたいから健康でいたいのだ」「意欲向上こそが生きる力。ありがとうと言われる高齢者を増やす」「薬をできるだけ出さない薬剤師を目指す」「笑える病院づくり 笑いが絶えない職場環境づくり 笑顔第一をモットーにする」「おらが町の病院づくり 住民が病院を創る こんな病院であってほしい」「居場所づくりも大切だが ここに来ると住民の役割が見つかる」「信楽病院および関係者一座が 住民教育に参画。狸に変装して 狸の生活から その人らしい生き方を実現する住民意識の醸成を図る」などなど・・・次から次へ、比較的現実的な内容と、多少ぶっ飛んだ妄想が報告されました。何らかのアクションを妄想したとき
「その心は」と説いてみる。すると狙いが理解しあえる。真の目的志向型となり、これらを実現するためには、単独での限界を知り、協働しあえる関係づくり:どことつながるかが大切であることを強く認識するようになると思います。実現できるかどうかは、熱意と計画性がキーを握っていると思います。妄想がやりたいことになれば、当然実現に大きく近づきます。そして今回の妄想大会が、一過性の“ガス抜き”にならないよう、今後とも継続し、住民はもとより多くの地域資源に広がっていくことを期待しています。

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