「住民力を肌で感じる場」を掘り起こしエンパワメントする~第75回日本公衆衛生学会シンポジウム⑳
10月26~28日 大阪市のグランフロント大阪において 日本公衆衛生学会総会(学会長:大阪大学 磯教授)が開催され 27日の「シンポジウム:元気づくりシステムの地域スタイルと人材育成から学ぶ」に この元気作りシステムの創始者で健康づくり大学学長の大平利久氏と共に 座長として参加した。当シンポジウム開催主旨は・・・高齢者が増加すればするほど 地域が活力を増していく つまり元気高齢者が地域を創生していくような 長寿社会を実現することを狙いに 『元気づくりシステム』が三重県いなべ市の公民館活動を原点に 高齢者へのスポーツ普及の取り組みから開発された。地域包括ケア時代を背景に 元気高齢者を育成支援できる仕組みや人材育成等について いなべ市内にとどまらず 全国各地で試行錯誤を繰り返し さらに「元気づくり大学」を設置し、このシステムの導入普及方法を開発(特許庁商標登録)し運用できるまでに至った。そして、このシステムを既に事業展開している市町村と連携して、全国普及に向けて活きたキャンパスを提供している。これまでその経緯を当学会で 継続して報告してきたが 今回のシンポジウムでは特に 各市町村の公衆衛生関連職員の人材育成方法の一つとして議論することを目的とし 福島県伊達市 広島県北広島町 三重県玉城町の現状について自治体職員や連携外郭団体職員の報告をもとに討議したい・・・ということである。
大平氏や当大学副学長の大澤ひろみ氏らとの出会いは当学会であり すでに10年近くにもなるが 変わらぬ熱意と行動力には頭が下がる。今となっては 私が公衆衛生学会に参加する理由の主目的になっているといっても過言ではない。
私が 各地域で講演し強調している「元気高齢者を産み出す地域づくり」の実践モデルとして この取り組みは大変心強く励みになっている。腑に落ちた今回のキーワードは 「住民力を肌で感じる場」であり、保健師をはじめ自治体職員はもとより 医療や介護(福祉)関係者 ひいては多くの地域資源が 住民力や患者力そして地域力を肌で感じながら それを引き出すことにやりがいを感じて取り組むことができれば きっと日本は長寿国の先駆的モデルとして 世界のリーダーシップを発揮するだろうと 心に響いた次第である。