自治労から発信する地域包括ケア時代の保健医療福祉~島根県自治労研修会~
10月29日 松江の宍道湖畔に建つ白亜のホテル白鳥で開催された 島根県自治労主催の研修会に行ってきました。
私と自治労の関りは まだ私が県庁職員時代ですから20年以上になります。組合といえば 自分たちの権利闘争が目的であり私には関係のないものと思っていましたが その当時の自治労の幹部は 「住民から見放された公務員が自分たちの待遇改善ばかりを目指してアピールしても さらに住民との距離を広げるばかりだ。むしろ住民の信頼を得る(回復させる)活動をすべきだ」との方針で 私に協力を求めてくれたのです。私自身が30歳のころ 御荘保健所で実体験した 課題解決型ではなく目的達成型の取り組みを参考にした ケースメソッド的検討手法を 自治労の各地の研修会に持ち込み 目的に返り課題を絞り込み手段を活用し 住民力・地域力を引き出すための人材育成に 随分力を入れてきました。その後幹部交代や私が大学に戻ったことなどから 関わる頻度は少なくなっていましたが このところ 地域包括ケア時代の行政や公立病院の在り方が問われる中 再度ラブコールが急増しています。
今回の講演では「地域包括ケアシステムと保健・医療・介護・福祉の連携」に関して 特に公立病院を意識してお話をさせていただきました。全国的に保健医療系の自治労組合員には 行政職員も少なからずおりますが 看護師の割合が高く 特に公立病院の職員が多く参加されているように思います。地域包括ケア時代に公立病院がどうあるべきか 民間病院よりも政治的意図が入り込むため かえって今後の病院の方向性があいまいな中で 自分たちの今後を模索している状況です。少しでも彼らのモチベーション向上につながればとの思いで この研修会に臨みましたが 逆に参加した熱意ある彼らを追い詰めることにならないかと懸念する次第です。自治労の活動が全国でつながり 熱意がかえって犠牲者を出すことにならないよう アフタケアにも十分配慮して 全国展開していただくことを期待しています。
講演後のパネルディスカッションでは 行政や地域の取り組みが主に議論されました。高齢化が急進し 多くの課題が山積する中で 計画性をもって対処していくことの重要性が強調される一方で 特に圧巻だったのは 住民の立場からの生の声でした。当初から自分が部外者であり「行政と住民と思いや行動のズレ 距離を感じる」といった発言と 一方で地域住民が主体となって楽しく支えあう“安心と信頼の地域づくり”の実践報告を聞いて “してあげる型”のこれまでの行政スタイルを見直し 住民の求めるものの実現に向けた支援に徹する大切さを 改めて感じさせられました。
地域住民自らが看護師を雇って 地域づくりを推進しているこの地域 その看護師本人である 古市妙さんも来られていました。鹿児島大学病院に勤めながら 自分が目指している看護師を模索していたところ 島根県雲南市の鍋山地区から“地域づくり応援隊員”の募集があり飛び込んだとのこと! まだまだフレッシュマンですが その勇気と先見性に心からエールを送りたいと思います。
正直のところ組合加入のメリットが見えにくい中で あえて入会している組合員には 熱く志の高い方が 少なからずおられます。懇親会に参加して これからを担う看護師や保健師また事務職とも語り合い思いを共有できたことも 私の今後の原動力となりました。私とも古い付き合いになる 島根県自治労のご意見番 米田氏は 国の委員や各地のコンサルタントなど経験・知見豊富な方で 地酒をいただきながら 今回もいろいろお話しができ松江の旅も思い出深いものとなりました。