地域包括ケア時代をけん引する行政と医師会のコラボレーション~三重県のアドバイザーとして2年目スタート~
5月16日(水)久しぶりに中部国際空港(セントレア)に飛びました。三重県津市と空港を繋ぐ、エアポートラインの高速艇に乗って、三重県医療介護連携推進アドバイザーの本年度初仕事に臨みました。昨年に三重県下を回って、火をつけた?!種をまいた?!結果、今年度は確かな成果が問われることになります。既に、具体的に動き出している地域も見られますがその展開を含めて、是非三重県のスタンダードな取組みを、県内はもとより全国に発信していきたいと意気込んでいます。14:30から三重医師会館で行われた、今年度の打ち合わせ会議には、県下概ね全市町及び県庁や医師会関係者らが約50名参加しました。県庁からの概要説明に引き続いて、私の方から30分ほどのミニレクチャをさせていただき、その後意見交換会を行い、市町の主体性のもと、医師会と行政が協働して進めていくことが申し合わされました。
以下、講演内容の一部抜粋です。
まず、どんな地域を目指すのかを、具体的ではなく抽象的でいいから、本当に目指す理想としてイメージを関係者が共有することが重要です。もちろんその内容が、サービス提供者側ではなく、住民が目指すものと一致している必要があります。その際、住民の困っていることの解決が役割だと思っていたら、大きな落とし穴にはまります。ディマンドとニーズの比較がよく挙げられますが、住民が本当に求めるものを明確にすることは簡単ではありませんので、しっかり話し合って互いに導き出していかなければなりません。現状把握は課題抽出のためだと思い込んでいる方も少なくありませんが、それ以前に、地域を知り、その地域特性を踏まえさらに活かしながら、地域の目指す将来をイメージすることが肝要です。イメージが持てない状況下で課題解決に向くと、課題解決自体が目的化して、いずれ必ず行き詰ります。次々と課題の解決が上手くいくのであれば別ですが、それほど簡単であれば、あえて課題として捉える必要もなかったのかもしれません。“課題解決型から目的達成型へ”と、これまで何回も繰り返し強調してきましたが、ちょっとしたきっかけで、すぐに課題解決の方に向いてしまうんですよね。この点を留意するだけで、日常の悩みから解放されることは間違いありません。
イメージが共有できたら、あとはその実現に向けた協働です。それぞれが、これまで実践してきたことや今後していきたいことが、イメージ実現に向けたベクトルに乗っているかを確認しながら、互いの力を引き出しあう“エンパワメント”を意識して、取組んでいくだけです。これまで上手くいかなかったのは手段のせいだとしたいでしょうが、実は手段が悪いのではなく、イメージが曖昧であり、ベクトルを意識してなったから行き詰ったのです。課題解決は、イメージを実現する上での課題であって、他地域との比較や中央からの指導から導き出されるものではありません。常にイメージ化やその共有に留意していかなければなりません。