光は南から! 個々の多様性を重視し主体性を引き出す 新たな地域づくりへのチャレンジ~南宇和心の健康を考える会~
6月18日(月)15:00~、愛南町役場(大会議室)において、南宇和心の健康を考える会(以後「考える会」)の総会及び定例会が開催されました。私が御荘保健所長として昭和60年に赴任した折、愛媛県精神衛生大会を当地で開催することになり、その開催を一度限りの花火に終わらせたくないとの思いから、当会が立ち上がりました。お陰様で 精神衛生大会は1000名以上の参加があり、考える会にも約400名が、愛媛県内はもとより四国各地から、保健医療福祉の精神衛生の関係者に参加していていただきました。まだまだ精神保健分野への注目がそれほどない時代でしたので、企画をした我々自身が、その状況に驚いたことを思い出します。御荘保健所が宇和島に統合されまた廃止された後も、正光会御荘病院(現御荘診療所)が継承していただき、南宇和郡5か町村(現愛南町)の行政がしっかりとバックアップして、今日までその活動は、現会長の長野敏宏氏(御荘診療所長)のリーダーシップのもと、ますます拡大し、全国に発信し続けています。設立当初からのキーフレーズ“光は南から”そして“ハート イン ハート”は、今も揺るぐことなく、考える会の推進力となっています。当時からノーマライゼーションの真意を踏まえて、“障害者のためにではなく、障害者と共に”を重視して、互いの理解を深め共に地域づくりを進めていく、まさに公衆衛生活動を展開してきました。考える会はその後「南宇和心の健康を進める会」を産み出し、さらに地域全体の取組みとして展開してきています。大変ありがたいことですが、私は転勤後も県庁そして大学を辞めても、ずっと当会の顧問として、毎年うかがって、講演やディスカッションをさせていただいています。今回は講演ではなく、コメンテーターという立場で、それぞれのご報告をうかがった後に、感想や意見、そしてエールを送る役割でした。各グループからの報告は、課題解決から脱却して、愛南町の将来をイメージした、未来への提案が盛りだくさんでした。彼らには、“参加”と“活用”をキーワードに、住民一人一人が主体性をもって、自分らしい生き方の実現そして地域づくりに関われるように、180度意識改革・行動変容を起こす必要性をあらためて強調しました。
精神保健分野ではもはや聖地と言ってもいいぐらい、全国に発信されていますが、既に地域づくりへと大きく発展し、地域包括ケア時代を先取りされて、次の時代を目指して取組まれています。当然私の期待も膨らみます。高齢社会の在り方のモデルになるような愛南町が、この考える会を原動力に、過去からの積み重ねではなく、未来のために今を大切にして発展していかれることを心から期待しています。