医師会と行政が連携した目的志向型の地域づくり~三重県津市ケースメソッド研修会~
8月31日(土)、三重県薬剤師会館(津)おいて、行政関係者や医師を始め多職種の医療・介護関係者の参加のもと、地域包括ケア時代をけん引する人材養成のための、ケースメソッド的事例検討を開催しました。参加希望者が多かったことや、希望の時間帯に応えるために、午後の部(13:00-16:00)、夜の部(18:00-21:00)の2回に、約60名・10グループずつに分け、概ね120名を対象に、それぞれ3時間の研修をいたしました。これまで津市は、地元医師会(浦和会長)と協力体制を取り、地域包括に関する講義やケースメソッド体験研修を、県下に先駆けて既に行ってきましたが、今回はその延長(応用編)として実施することとなりました。初めての参加者も一部いらっしゃいましたので、トレーニング事例の紹介も含めて講義を1時間程度行い、その後グループワークによる事例検討に移りました。今回用いる事例は、津市が実際に悩んでいる事例を募集することで作成したものです。私が用意したこれまでの一般事例とは異なり、地域に密着した臨場感あふれる、参加者の主体性も引き出しやすい事例となっていました。これまで、困難事例を前に「どうしたらいいか?」の問いかけに、その解決策・方法をいかに導き出すかで、話し合いは行われていました。その結果、その場限りの対応にとどまり、本来の根本的な対策は先に見送ることになってしまっていることを実感していただけたと思います。「急がば回れ!」ではないですが、各々思い付いた対策案を競いで出し合う前に、事例の一番重要な点、つまり「何のため」を明らかにして、それを共有する話し合いを重視することが、ぶれない確かな取り組みへとつながります。今取り組んでいる手段(対策・事業)が問題なのではなく、目的自体があいまいで、目的を達成するベクトルを意識しないまま、手段を実践すること自体を目的にしてしまっていることが問題であることに気づいていただけたと思います。「すべての悩みの根源は手段であり、目的で悩んでいる人はいない」を大前提に、目的を明確化することで、課題を絞り込み、手段をその実現に向けて集約することが、悩みから脱却し、目的達成へ一歩踏み出す原動力となります。慣れていない話し合い方に、きっとお疲れにはなったとは思いますが、終了後の皆さんの笑顔に、今回の研修の成果を確信した次第です。
三重県医療介護連携アドバイザーとして、今年のテーマは、地域包括ケア時代を牽引する「地域におけるマネジメントリーダー」の育成です。各地域にうかがってのケースメソッドを用いた研修会や、県主催の人材育成事業に、できるだけ関わることにしています。津はすでに昨年から手がけていましたので、今年度この取り組みのトップバッターを務めることになりました。浦和医師会長はじめ津医師会のリーダーシップは、地域の将来(あるべき姿)を実現する重要な原動力となっています。難しいと言われている人口が多い地方都市の主体的な確かな動きを、私にとっても、肌で感じる機会となっています。マネジメント=エンパワメント! 「この指とまれ!」の目標に向かい、それを実現させるベクトルに、人や手段が主体的にのっていけるような、コミュニケーションを推進していく、まさに地域包括ケア時代のリーダーが育成されていくことを、心から期待しています。
明日9月1日(日)は、県主催で、三重県の松阪庁舎で、市町の行政担当者(課長や保健師等)を対象に、実施することにしています。