令和5年度 滋賀県我がまちの「地域包括ケア」を考える研修会全体研修

      2024/02/13

 令和6年2月9日(金)に、滋賀県大津合同庁舎において、地域包括ケアの行政担当者等20数名が集まり開催されました。  

 滋賀県では、積極的に市町をバックアップして、地域包括ケアの推進に取組んでいます。その一環として、市町が地域の実情に応じた地域包括ケアシステムの深化に向けて、目指す姿を描き、多職種多機関と協働しながら計画的に推進できることを目的に、「我がまちの地域包括ケア」を考える研修会全体研修を毎年行っています。

 今年度は、ロジックモデルを導入して、「看取り」をテーマに地域包括ケア構築に取組む支援をしています。慣れない手段で 結構難航したようですが、各報告から、確かな手応えを感じた市町は多かったように思います。

※ロジックモデルとは、プロジェクトや活動がどうやって目標を達成するかを示す図です。これには、何を使って(入力)、何をする(活動)、何が起こる(出力)、そしてそれがどんな良い変化をもたらすか(成果と影響)を示します。簡単に言えば、ロジックモデルは「何を使って、何をする、何が起きるか」を図で説明する方法です。

 この直接的な指導にあたっている松本佳子氏、中村恭子氏のお二人に、私を含めた3人の滋賀県医療福祉推進アドバイザーが召集され、各地域の活動報告へのコメント、併せてセミナーを行ないました。

私からのコメントは・・・

 ロジックモデルが難しいと感じるのは? 慣れていないせいでというよりも、イメージ力の貧困さから来てます。課題解決に追われて、目指す目標が曖昧。どうあればいいのかイメージの共有化や現状把握がバラバラ・不十分なままです。まだまだ目的共有に時間をかける必要ありと、最初から辛口発言。お互いの力を引き出しあう関係性 エンパワメントプロセスを重視してくださいと伝えました。

 また看取りをテーマにしたためか、いかに死なせるかにシフトして、生活視点からの予防を重視した、保健師のアイデンティティーが出せていないとも。

 住民主役と言いながら、してもらう主役にすえてしまうことから脱却できない現状。自ら取り組む主役へ切り替えること。「住民へのベクトル < 住民からのベクトル」を意識する重要性も 伝えました。 作業を進めたいがために、どうすれば良いかにこだわりがちですが、ロジックモデルを経験すれば、今まで既に取組んでいることを、互いに協力して、目的へのベクトルに各々乗せていけば、結構取組んでいることに気づき、かえって安心するはずです。などなど・・・

今回の私の講演テーマは「well beingの実現に向けた 住民・地域のエンパワメント」としました。そのポイントは・・・

  • ウェルビーイングの定義と重要性:

 ウェルビーイング(幸福や満足感)の具体的な定義と、なぜそれが個人や社会にとって重要なのかを明確にすることが大切です。

  • 現状の把握と目標設定:

 各地域の現状を正確に理解し、ウェルビーイングを高めるための具体的な目標を設定する必要があります。これには関係者へのヒアリングやデータ収集が不可欠です。

  • エンパワメントのプロセス:

 住民や地域の関係者をエンパワメントするための具体的な方法やプロセスを示し、それぞれが自身の役割を理解し、積極的に参加できるようにすることが重要です。

  • PDCAサイクルの活用:

  目標達成に向けた取組みを進める上で、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)のPDCAサイクルを効果的に回す方法を提示します。これにより、持続可能な改善が可能になります。

  • 多様な関係者との協働:

 行政だけでなく、医療関係者、住民、地域の団体など、多様なステークホルダーが連携し、共に目標を共有し、役割を果たすことの重要性を強調します。

  • 具体例の提示:

 既に成功している事例や、試行錯誤の過程で学んだ教訓を共有することで、理論だけでなく実践の視点も提供します。

  • 聴衆の参加とフィードバックの促進:

 講演会を単なる情報提供の場にとどめず、参加者が自身の経験や意見を共有できる機会を設け、双方向のコミュニケーションを図ります。

 この講演会で伝えるべきは、ウェルビーイングの実現に向けては、単に政策やプログラムを展開するだけでなく、住民や地域の関係者をエンパワメントし、全員で協力しながら目標に向かって進むことの重要性です。それには、明確なビジョンの共有、効果的なコミュニケーション、そして継続的な評価と改善が必要です。ロジックモデルに振り回されず、目標達成に向けて活用できるよう期待しています。

 終了後、懐かしい方との再会のために県庁を訪れました。私に本県のアドバイザーを依頼するために、わざわざ金沢まで私を追っかけてきてくれた、当時の医療福祉課長の河瀬氏です。今は監査役として滋賀県の重鎮となられています。しばし歓談し、あの頃を振り返りながら、まだまだこれから頑張りましょうということで、滋賀の出張がより有意義なものとなりました。

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