地域のリーダーへ

地域リーダーへの期待

地震などの自然災害への危機管理も確かに重要であるが 間違いなく押し寄せている しかも将来予測が可能で有る 我が国の特に人口問題を背景とした重大危機に 地域自らが積極的に対応していかなければならない。目の前で起きる出来事に対して とりあえずできる手当をしながら・・・といったその場しのぎ的対応では 確実にこの危機につぶされてしまう。このピンチをチャンスとして捉え 中央行政・専門家主導の受け身的対応から 地域主体の地域づくりに切り替える 大きな転機の時期を迎えている。時間はかかるが 少しでも早くチェンジしていくことが 地域の存亡に関わることであり 地方行政のパラダイムシフトが強く求められている。

概ね どの地域も抱えている課題 ①高齢者が増えること ②多死社会となり人口が減ること。これらを解決するため 先の見えない経済的不安等を背景に、地域が衰退していく多くの課題にそれぞれどう対処するか・・・といった「課題解決型」の対策から むしろこの現実を受け入れて ①元気高齢者が地域を支え地域を作る ②その人らしい生き方・死に方を実現する等素晴らしい地域にするためにといった「目的達成型」に 大きくギアチェンジを図ることが重要である。

課題解決型は 果てしなく限りのない多くの課題に振り回され 結局目的達成にはつながらない。現状を受け止めて 住民をはじめ今有る地域の資源を把握し掘り起こして 東温市の住民が目指す街を明確にする。そして その目的実現のための課題に絞りこんで取組めば 一歩一歩目的に近づく。

中央主導の各施策に地方が対応するといった いわゆる行政の縦割りの弊害は まさにこの課題解決型の対応に終始することに陥りやすい。

また 地域住民の要望に応えるために 行政が次々とサービス提供に奔走するといった対応では 果てしなく広がる要望に膨大な費用・人材が必要となり いくら頑張っても結局は永遠に住民が満足できる状況には至らない。

今こそ、住民が真に求める「自分らしい生き方・死に方」を可能とする地域づくりに向けて 地域自身が主となって取組まなければならず 地方行政の役割・責任ますます大きい。

我が地域には 他にない人材や資源にあふれている。それら資源がこの地域の目指す目標に向かって協働することができれば、今ある資源を活用することで地域づくりは十分可能である。新たな資源に活路を見いだす必要性はなく、結果的に無駄な投資に翻弄されることはない。

 

地域包括ケア時代において 世代や地域その他特性を踏まえた中で 多様な対応が必要であることはもちろんであるが 特に高齢者を地域の資源として活用する体制づくりが 緊急の目標で有り そのための理解と地域資源総動員による取り組みが必要となる。

その一環として 元気高齢者の活躍の場を増やし 職場等の定年によるリタイヤではなく 地域で活躍するための新たなスタートとして 地域のために働ける意欲向上や機会提供を積極的に推進していくことが求められる。企業の社会貢献として そういった人材を地域に送り出すことが重要であると 認識されることを期待したい。

ここでいう元気高齢者とは 「ときどき医療を受けながら またときどき介護・支援を受けながらでも 自分らしい生き方・死に方を目指して 地域のために貢献する高齢者」のことであり、医療や介護を受けていない高齢者を指すのではない。

高齢化をネガティヴにではなく 長寿化としてポジティブに受け止め たとえ高齢化率が急増しても、その中で元気高齢者の割合が高いことを目標に 地域の目指すべき指標として推進していくことが重要である。保健も医療も福祉も そして住まいや生活全体も 関わる地域資源がその目標に向けて協働できるよう 話し合いの場づくりや実践支援することが 地域の政治や行政の一番重要な役割である。

具体的には 住民全てが いざ困ってからではなく 自分らしい生き方・死に方を意識して 日頃からかかりつけ医を始め相談支援が受けられる「地域包括ケアネットワーク」に支えられる 意識醸成や環境作りが基盤として重要である。また 元気高齢者の集う場・働く場・活躍する場の確保や支援体制の構築など 高齢者の意識改革や生きがい支援に 元気高齢者の育成支援に向けて あらゆる地域資源が参画できるよう これらマネジメントは地域行政の役割であり 行政しかできないことだという認識を痛感する。

高齢者の生きがいは いくつになっても「ありがとう」といわれることであって、若年層よりも他己的である。つまり「ありがとう」といわれて地域のために活躍することが生甲斐である『元気高齢者』が増えることを むしろ地域の原動力とすることが 地域包括ケア時代の本当のねらいである。ありがとうといわれる高齢者の存在が地域で広がることが ひいては若者達への安心と意欲向上につながり 少子化に歯止めがかかる大きな基盤となると確信している。

地域包括ケア時代を乗り越えて行くには 「ありがとうといわれる元気高齢者を 全ての市民が目指せる地域づくり」の実現に向けて 行政はもちろん 医療福祉だけでなく地域資源総動員で取組むことこそが 何より重要であることを強調したい。

 

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