“商助”とは…地域包括ケア時代の近江八幡市のブランド発進~商助シンポジューム~
2月4日(日)13:30~、近江八幡市のひまわり会館で、これまで商助推進会議で検討してきた内容やモデル地域(島学区)での活動を踏まえて、商助のマインドや活動を地域に広げていくため、そのキックオフの位置づけで、冨士谷英正市長が口火を切って、市内の事業関係者や住民約100名の参加のもと開催されました。私は基調講演とシンポジュームのコーディネーターをさせていただきました。シンポジストには、森村敬子氏(東部地域包括支援センター長)、田中誠氏(中野電機商会社長)、大西實氏(島学区まちづくり協議会事務局長)の3名で、いずれも商助推進協議会のメンバーであり、その中でも代表する論客の方々です。コーディネーターの役割はいかに時間内に収めるかとなります(笑)
自助・共助(互助)・公助はよくご存知かと思います。自ら取り組む「自助」、地域や身近にいる人同士で支えあう「互助」、リスクを共有する仲間で支えあう「共助」、税によって支援を行う「公助」、それに加え、民間活力による支えあいの「商助」です。商助の推進とは、近江商人の三方よし…「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の精神に則り、企業や事業者が地域への貢献を通して、地域の発展あっての商売繁盛を意識し、商いが地域を助け、地域が商いを助けるしくみを、地域包括ケア時代と言われる、超高齢社会の生活体制の整備に活かしていくことです。新に登場した“商助”は、地域包括ケア時代を活き抜く大きな“起爆剤”“原動力”そしてけん引役を果たしてくれる第5の切り札だと受け止めています。
自助や互助が“助ける”という意味よりも、自分の持つ力、互いの持つ力を引きだすという点で意義深いように、商助も、商売の力を引き出すということが重要な考え方です。これまで取り組まれてきた、住民の自立促進や生きる意欲の向上、また互いの支え合いの強化による住民力や地域力の向上策が、地域の活性化に効果を表しており、今後近江八幡市では、商助の積極的な参画により、さらなる推進を計ろうというものです。むろん地域の商売人にとっても、地域密着型を意識して、地域に根づいた地域に信頼される関係を築いてこそ、大手の全国展開している企業や通信販売に対抗できる手立てだということも、お互いを近づける大きな要因です。当市で並行して動いている、“0次予防”の基盤づくりにおいても、商助の推進は、具体的かつ原動力の一つになると考えています。
森村敬子氏によれば、お困りごとで多く挙げられている内容は大きく3点に整理できるとこと。①人との接点が減ることによる寂しさ(孤立化) ②ゴミ出しなどちょっとした生活支援の手助け不足 ③病院や買い物などへの移動手段。これらに着目して、具体的には、事業者が宅配のついでに高齢者の生活の支援となるような手助け(ゴミ出しや電球交換など)をしたり、高齢者の集いの場所としてスペースを提供するなど、実際の事業活動以外に高齢者や地域の自立促進となるような行いをすることから始めようとするものです。今後は、企業側から地域の高齢者を技術面の教育などバックアップして、商助協力員として契約し、買い物支援や配達、また修理やいろいろな相談をサポートできるよう、共に進めていく予定です。また“商助”登録した企業は、地域への信頼の証となり、高齢者が訪問販売等の詐欺行為に巻き込まれないためにも効果を発揮すると思います。今後“商助”の考え方が、地域の企業や住民に広がることによって、さらに範囲も内容も大きく広がっていくことが期待できます。
“三方良し”の近江商人のポリシーが、現代によみがえることを、きっとご先祖さんたちは喜んでくれているに違いありません。そもそも「商う」の語源は、「秋、行う」だという説があります。昔、秋になると収穫した米を中心に、各地で物々交換の市が開かれました。この市が地域の生活を支える取り組みとして位置づいていました。このもともとの語源に則り、商いを通して、地域全体で支え合うことができるまちを目指し、今後当地のブランドとして、全国に発信されると心から期待しております。