地域包括ケア時代のバイブル作成を目指す~日本医師会地域包括ケア推進委員会答申内容打ち合わせ会~

   

9月14日(土) 12:00~15:00、帝国ホテル(カンファレンスルーム)において、来年春に、横倉日本医師会長からの諮問「尊厳の保障と自立支援に資する地域包括ケアシステムの深化・推進に向けて」にお応えした、委員会としての答申ができるよう、今後残り3回の委員会の進行について「打ち合わせ会」を、私と、江澤和彦担当理事(書記:山村愛氏)および医師会事務局の担当の大坪潔氏、中野課長で行いました。
当委員会の中尾委員長からも、「地域包括ケアシステムを通じた切れ目のない医療・介護提供体制の構築」の必要であり、日医の取り組みも踏まえた答申が望ましいと、後押しをしていただいております。
これまでの委員会では、第1回目、横倉会長から諮問をいただき、江澤常任理事から「介護政策の最新動向と医師会・かかりつけ医の役割」について説明、各委員からも自己紹介と委員会への意気込みなど意見交換を行いました。第2回目は、愛媛県出身で私とも長い付き合いをさせていただいています、眞鍋馨 氏(厚生労働省老健局:老人保健課長)から、「介護保険制度の将来展望について~創設以来の経緯と今後の課題を踏まえて~」をテーマにご講演いただきました。第3回目は、地域包括ケア分野の重鎮:オピニオンリーダーである田中滋氏(埼玉県立大:理事長)から、「2040年 多元的社会における地域包括ケアシステム」をテーマにご講演いただきました。第4回は、私とは公衆衛生分野で長いお付き合いをさせていただいていますが、厚労省や日本医師会のコンサルなど、データ分析を武器に活躍されている松田晋哉氏(産業医科大学教授)から、「データから考える地域包括ケア」をテーマにご講演いただきました。各回とも、講演を受けて講師への質問や委員間でディスカッションを行ってきました。いよいよ第5回(10月9日開催予定)第6回(12月20日開催予定)には、これらをもとに、答申案の作成に向けた本格的な検討を行い、最終回の第7回目(1月31日開催予定)に概ねの意見を集約し答申案を完成させることとしています。
江澤先生のからは、①介護保険制度(重度化防止、自立支援、リハビリ前置)②医療介護提供体制(地域医療構想・医療計画)③介護人材(外国人人材、処遇改善、働き方改革)④認知症施策⑤尊厳の保持とACP(人生会議)⑥地域包括ケアシステムのおける「まちづくり」(かかりつけ医機能)などについてポイントに置くことが提案されました。

*なお参考までに、私からの意見を以下に羅列しました。
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日医介護保険委員会 方針についての提案(櫃本真聿)

認知症の早期発見やBPSD他疾病管理対策ではなく 健康づくりの一環としての 認知症予防対策および地域ケアの充実など 総合的な取り組みが求められている。一方認知症対策では根本的な解決にならないことを前提に 元気高齢者を育成支援するための総合的な基盤づくりが必要である。要介護者(社会的弱者)としての認知症ケアではなく 高齢者を今後の最大の社会資源として 地域に活かすことに重点を置いた 地域包括ケア時代の構築が肝要である。

〇医師会 かかりつけ医の使命・役割を言及
行政ではできない意識改革や文化の醸成 現場レベルでのリーダーシップに関与
市町村行政のリーダーシップの限界 ガイドラインでは進まない
話し合いの場づくり 行政との連携による 現場のバックアップ エンパワメント
医療者の意識改革  住民の意識 地域の文化

〇市町行政と地域医師会の協働による 全国共通モデル(基盤構造)を提案
厚労省の紹介する先進地ではない 医師会(かかりつけ医)が不可欠な全国普及モデル
具体的には 市町と市郡医師会によって 中核病院(地域密着型病院)等に 多職種連携の話合いの場を設置 その運営を通じて施策化や実践を推進する

〇このシステムを企画運営できる人材確保・育成
認知症サポート医等のマネジメント機能の強化 アウトリーチの促進
多職種のマネジメント力向上 生活に戻すために 各職能において人材育成が必要
多職種が地域に積極的に出向く地域とのつながりを強化する体制作り

〇かかりつけネットワークの構築と運営
地域の多職種の連携強化 かかりつけ医がその一員として関われるネットワークの構築
すべての住民がそのネットワークに支えられることを推進する
結果的に かかりつけ医やかかりつけ・・・といった多職種の支援者を 日常的に持つことを 住民の権利・義務として 普及・定着させる

〇住民意識の改革 地域の健康文化の醸成
認知症にやさしいは ケアしてあげることではなく
これまで通りの生活をできるだけ継続できるために
社会の一員として 受け入れる文化醸成 ノーマライゼーションの考え方の定着が鍵
働く 社会参画する場づくり ありがとうと言われる活躍の場
住民意識 行政や医療・福祉関係者のパラダイムシフト
だからこそ 地域(街)づくりの観点が必要であり 医療介護の主体的参画が求められる

 - その他