地域包括ケアシステムの実現は保健師の力量次第!!~近畿地区保健師等ブロック別研修会~
8月31日~9月2日の3日間にわたる当研修会 滋賀県大津市の琵琶湖湖畔「コラボ滋賀」において 近畿地区全域の都道府県や市町村から170名あまりの保健師が集まり開催されました。私は2日目の担当で 坂口和代氏(大津市保健所保健総務課)と高田景子氏(野洲市健康推進課)の実践報告を基盤に 地域包括ケア時代において 「地域に責任を持つ保健師活動を推進するためには」を グループディスカッションを適宜取り入れながら進めました。坂口氏は大津市の地域包括ケアシステム構築への取り組みについて 高田氏は母子に視点を当てた地域包括ケアについて それぞれ全国のモデルとして評価されているだけあって パワフルな活動で 圧倒されることばかり。これを受けての最初のグループディスカッションでは 事例から普遍性を抽出すると言うよりは 自分ところではこのような取り組みが難しい理由を探すような意見も少なからずありました。お二人の先進地事例の活動分析により 共通点は 目標の明確化と共有に しっかり時間をかけ常に確認し合いながら進めていること。また「包括」の真の意味を受け止めて 自分の担当・役割分担に留まることなく その人らしい生活の実現のために 医療福祉の壁を越えて 地域資源のマネジメントに力を入れていることでした。自分達でできる“してあげる”ことへの日々の専念ではなく 住民や地域の力を引き出すことを常に意識し 臨機応変に対応しているからこそ このような取り組みになるんですね。
午後からはそれを受けて私の方から 地域包括ケアが何故必要なのか 真の目的はいったい何なのか? 考えていただくためのお話をさせていただきました。そして 極めつけは“ケースメソッド的検討”です。「特定健診の受診率が低い状況をどう改善するか」の事例をもとに 方法論ではなく 本当のねらいは「何のために」に振り返るグループディスカッションを行いました。確かに現場では 多くの保健師達が 直接サービスの提供に翻弄されている現状ですが 手段と目的の混同から脱却できれば その直接サービスを目的実現のために活用できることを実感し ぶれずに事業を活用していただけると思っています。縁あって和歌山県の看護師さんには このような検討会を継続してきましたが 今後チャンスがあれば ケースメソッド的検討の実践研修を 全国で普及させたいと考えています。
当研修企画のリーダー福井美代子氏(滋賀県庁)が 研修の手段よりも目的共有のために 裏方や各講師に働きかけたことが 3日間の一貫性を確保し その結果参加者の満足度向上につながったと思っています。
いずれにしても 地域包括ケア時代は公衆衛生(絶滅危惧種といわれている)にとって 最後で最大のチャンス! 公衆衛生のパワーを発揮して地域包括ケア時代を実現するのは 行政の立場をフルに活用できる保健師次第!! 一方で看護師や助産師らも医療機関や地域で 自ら意識改革を図り 地域包括ケアシステム構築に真っ向から取組んでいます。生活重視という同じ基盤を持つ“保助看ネットワーク”の力の見せ所だと思います。