保健所のリーダーシップ~富山県における在宅医療・介護連携の推進~
6月3日から5日にかけて富山県に行ってきました。富山は昨年も一昨年もほぼ同時期にお招きいただいています。
3日(土)は富山地域リハビリテーション広域支援センターおよび富山市保健所・富山県中部厚生センター等の主催により 富山県総合情報センターにおいて 医療機関・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・薬局等を対象に研修会が開催されました。医療と介護を要する患者の生活が豊かになるよう 病院や地域の支援者が医療・介護連携のあり方の理解を深め 病院と地域との連携の推進を図ることを目的としています。富山県リハビリテーション病院の浦田彰夫部長や富山県中部厚生センターの黒澤豊所長らのリーダーシップのもと病院と行政が連携した研修会で 約130名の参加がありました。私の講演テーマは「地域包括ケア時代の医療・介護連携~地域の生活者の持つ力を引き出す~」で まさにリハビリテーションマインドを基盤においたエンパワメントを目的とした多機関・多職種連携の推進がポイントです。その後ケースメソッド的検討を踏めた事例検討も行われ 日頃悩んでいることを共有しながら 目的に返って考えることの重要性を学ぶ機会となりました。
5日(月)の研修会は富山市の西南にある砺波地域で開催されました。昨年まで富山県中部厚生センターにおられた垣内保健所長が 砺波厚生センターに移られ 私が富山に来る機会に是非にと 急遽企画された研修会ですが 管内の医療・介護・行政職員が100名近く集まりました。地域包括ケア時代の目標を共有して 地域にかかりつけネットワークを構築し 住民自身が自分らしい生き方・死に方を実現できるよう 多職種が連携することの重要性を強調しました。連携とは互いの力を引き出しあう関係づくりであり そのために多職種が安心と信頼のもとで話し合い協働できる場づくりが不可欠であり 地元医師会と市町とが協力して場づくりやその活用を推進することが何よりも先決であることを繰り返しお話しさせていただきました。
富山県は行政特に保健所が 地域包括ケアシステムの構築に向けた牽引役を果たしています。医療・介護連携や在宅医療の推進に 保健所が問題意識を強く持って取り組まれてきています。保健所長や保健師が参画している地域は このところよく見かけますが 先頭きって旗を振っているのは まだまだそう多くはありません。かつて保健所長を経験し 公衆衛生の第一線機関としての保健所あるいは保健師の役割を期待しつづけている私にとっては その意味からも富山は極めて心地の良い地域です。滋賀県や三重県のような 県行政や県医師会の支援も期待されることころですが 私としては特に保健所の力を待ち望んでおり 保健所長のリーダーシップのもと 富山県が全国のモデルとしいて推進されることを心から期待しています。
今回は 講演以外に狙いがありました。これまでなかなか実現しなかった“立山黒部アルペンルート”です。講演会の合間の4日(日)にチャレンジすることができました。“雪の大谷”をはじめ高度3000メートルの銀世界や 映画“黒部の太陽”のあの黒4ダムを実際に見たくて 4日早朝5:27発の富山地鉄に乗車して ケーブルカーやトロッコ 高原バスなどを乗り継いで 黒部ダムまでの往復の旅を楽しんできました。前日に悲惨な航空機事故がありましたが その大荒れの天候結果 立山連峰の中心“室堂”あたりは新しい雪がずいぶん降ったようで サングラスをかけないとまぶしくて目があけられないぐらい 純白の原野が広がっていました。
これまでにも何度かブログに書いてきましたが 富山は私にとって大学を早期辞職する決断をしたところです。今からちょうど二年前 富山市内を2時間程度散策しながら 妻に退職の決意を伝えたことを思い出します。私にとってまさにパワースポットですね。大学を辞めて 独り立ち!?して つくづく思うのは これまで知り合ってきた方の 数々のご支援あっての今であるということです。今年もこの折り返しの時期に 思い出の地を散策しながら お陰様で この決意が正しかったことを実感しています。