全ては地域包括ケア推進のもとで~第5回「にじいろネット~医療的ケアを含む重症児・者と家族の為に~」

   


1月19日(日)13:00~、三重県伊賀庁舎の大会議室で、第5回「にじいろネット」が開催されました。「医療的ケアを含む重症児・者と家族の為に~」をテーマに、国立三重病院と三重大学医学部附属病院(小児トータルケアセンター)が主催ですが、三重県が共催し、5 市(津・鈴鹿・亀山・名張・伊賀)が連携して、主体的に企画運営に関わっています。津市を皮切りに、今回5回目ということで、伊賀市が初めて担当することになり、当会の協力機関である三重県医師会に相談があり、三重県医療介護連携アドバイザーである私にお声がかかった次第です。伊賀市は日本医師会の地域包括ケア委員会でご一緒させていただいている馬岡先生のお膝元ですので、特に気合を入れて臨みました。
冒頭、岡本栄伊賀市長および猪木達伊賀医師会長(岡波総合病院理事長・院長)から開会のご挨拶があり、続いて、植田充芳氏(伊賀市健康福祉部 医療福祉政策課)から、『“お薬手帳” を活用した在宅患者サポート事業』について報告がありました。薬剤師からではなく行政官が行うということで理解しやすいと思いますが、伊賀市では、お薬手帳をツールとして、行政や医師会をはじめとする多機関多職種が連携を深め、住民のセルフケア意識の向上や地域包括ケアシステムの構築に取り組んでおられます。
その後パネルディスカッションに移りました。進行役である私の方から、「医療的ケアを含む重症児・者」とあり、それは医療以外に大切な事があるということ、つまり「その人の地域での暮らしを支える」という視点の重要性を踏まえて、進める旨を伝えました。これまでは重症心身障害児・者等の実際の関りを通じた話題を中心にディスカッションされてきた研究会ですが、先ほどのお薬手帳の報告を受けて、今回は地域包括ケアを推進していく中で、目指すべき将来をイメージしながら他機関多職種が連携していくことの重要性にポイントおいて進行させていただきました。紀平久和氏(伊賀医師会副会長)、中山英起氏(伊賀薬剤師会顧問)、西出聡美氏(伊賀・名張地区訪問看護ステーション連絡協議会伊賀市代表)、平井俊圭氏(伊賀市社会福祉協議会常務理事)、太田友美氏(伊賀市健康福祉部健康推進課 長)の5名の方々から、「暮らしを支える」視点から、主に①今、実践している事 ②今後、見直し(改革)が必要と考える事について、各数分お話をしていただき、私のアジテートにお付き合いいただきながら、パネルディスカッション後のワークショップにつながるよう、やり取りさせていただきました。岡本市長や猪木医師会長も終始参加され、自ら手を上げて発言をしていただくなど、会はさらに盛り上がりました。


目的と手段を混同せず、あくまで目的を明らかにして共有してから行動すること。多職種連携は、連携することが目的ではなく、その人が地域で生活できるための手段であること。連携のねらいは当事者の「暮らし」であり、その人の尊厳、自立のための支援であること。これは地域づくりであり、共生社会に向け「地域力」を高める事であること。地域で生活していくための医療であり、介護であること。当事者はしてあげる対象ではなく、むしろ当事者から”力”をもらえることに気づくこと。等々、十分な時間はありませんでしたが、この後の「共生」、「防災」、「連携」等を話題としたワークショップでの活発な話し合いにつながるよう、精一杯務めさせていただきました。ワークショップにも参加し、各グループの報告後にコメントもさせていただきましたが、今回の研究会の成果を肌で感じることができて、とても有意義な時間を過ごすことができました。主催者や参加に、私の方からお礼を申し上げたいと思います。
特別企画として、駐車場に「モバイルファーマシー」が展示され、薬剤師会の若手が説明されていました。キャンピングカーを改造した、薬局機能を搭載した災害対策医薬品供給車両で、電力や水の途絶えた被災地の医療救護所等で自律的に調剤業務と医薬品の供給を行うためのものです。
会終了後、馬岡先生や猪木先生、さらには中村先生(三重県医師会常任理事:馬岡先生と共にアドバイザー事業を立ち上げた同志)他、医師会の先生方と共に、伊賀牛すき焼きの老舗「金谷」にご案内いただき、伊賀の印象がさらに強くインプットされました。

 - その他