平常時の災害対策は地域包括ケアを深化させる~愛媛県地域包括ケアを考える会~

   

令和2年の初ブログになりますが、年末年始からしばらくリフレッシュしておりました。
さて1月 18日 (土)の14:00 ~、松山市医師会館(いきいきホール)において、2019年度の「愛媛県地域包括ケアを考える会」が開催されました。愛媛県慢性期医療研究会(西尾俊治会長:南高井病院長)が毎年開催しているセミナーで、今回は災害をテーマにして企画実施されました。
最初に「栄養の災害対策~西日本豪雨災害の経験を踏まえて~」をテーマに、山﨑幸氏(市立宇和島病院食養科長)から、実体験に基づいた災害対策の大変さや今後備えるべきポイントなどうかがいました。
続いて14:30~17:20、県外講師2名を含めた3人の演者によるシンポジウムが行われました。私が当研究会の顧問をさせていただいている関係で、進行役を務めさせていただきました。お一人目は、宮城県から安藤正夫氏(医療法人金上仁友会金上病院 理事長・院長)が、「災害時におけるBCPについて~地方小病院の初回BCPへの取り組みを通して~」をテーマにお話しいただきました。事業継続計画(BCP=Business Continuity Plan)とは、企業等が自然災害、大火災などの緊急事態に遭遇した場合に損害を最小限にとどめつつ、中核事業の継続、早期復旧を可能とするために、平時の活動や緊急時における事業継続の方法、手段などを決めておく計画のことです。BCPの特徴は、従来からある防災計画(損害を最小限にとどめる)の考え方を含みながら、緊急事態に遭遇した後に事業を継続していくための対応力を「そなえる」ことにフォーカスしている点にあります。つまりBCPは、御社の経済的価値だけでなく社会的価値の向上につながる、企業の営みです。災害拠点病院にはBCP策定が義務化さていますが、医療の場合は、災害時には、最低限の継続というより、逆に普段より業務量が増えることも十分考えられ、病院単独での限界を認識し、地域との連携のもと、マネジメント力を発揮しながら、PDCAサイクルを回して、適宜バージョンアップを図っていかなければなりません。
お二人目は村田佳乃氏(日本認知症グループホーム協会愛媛支部長)で、「日頃の備えがあったから~野村町の成功例~」というテーマで、2018年7月7日の西日本豪雨の中で、日頃の避難訓練が功を呈した施設の事例を上げながら、日常の取り組みの重要性について、また協会としての後方支援の在り方などお話をいただきました。
お三人目は、私の公衆衛生の同志であり、行政分野での災害対策のリーダーも担われている田上豊資氏(高知県中央東福祉保健所保健監)にお願いして、「災害時地域包括ケアについて」お話をいただきました。流石!田上先生!! 災害対策を地域包括ケアの理念で進めていくことの重要性をわかりやすく、しかも熱く語っていただきました。
概ね3時間にわたるシンポジウムでしたが、病院文化として災害対策に取り組むことや住民への意識啓発の重要性、災害時における「要配慮者」の把握など情報管理体制の在り方、また行政と関係機関間の連携強化など、フロアからの意見を交えながら、活発なディスカッションが行われました。災害は必ずやってくるという認識のもと、互いのつながりを重視して、平常時における災害を想定した取り組みの大切さはもちろんですが、むしろ災害対策に平常時から地域全体で取り組むことが、地域包括ケアの深化に直結すると実感した次第です。最後は、この研究会を立ち上げた木戸保秀氏(松山リハビリテーション病院長)から、参加者に向けて、地域包括ケアシステムの構築に向けた熱いメッセージで締めくくりました。

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