公衆衛生のプロである理容師からの発信に期待!~新型コロナウイルス・ガイドラインセミナー~

   

7月20日および7月27日に分けて、愛媛県理容生活衛生同業組合の「新型コロナウイルス・ガイドラインセミナー」が愛媛県下東中南予3か所で開催され、講師としてお招きただきました。20日は、中予地区と南予地区で開催され、中予会場は、愛大医学部の同級生である四宮博人先生(愛媛県立衛生環境研究所長)が、そして私は古巣の南予(保健所生活8年間過ごした地域)のサブライムホール(宇和島市)に、27日には東予会場のユアーズ(新居浜市)で開催され、私がうかがいました。

COVIT-19のせいで、今年の講演依頼はほぼストップ、3月からの講演のキャンセルや延期が続出で、さらに、これまで「人と人の距離をいかに近づけるか」を重視して私が取組んできた地域包括ケア活動とは逆行して、今や「人と人の距離をいかに遠ざけるか」がテーマとなり、散々な思いをしてきました。しかし、公衆衛生過激派(長谷川俊彦先生からの命名)の私としては、これで立ち止まるわけにはいきません。公衆衛生やヘルスプロモーションの観点で、情報を収集しながら考え発信してきた結果、このところの講演依頼は、まるでCOVIT-19の専門家状態です。「COVIT-19のお陰で」ではありませんが、これまでの講演活動をより広げるチャンス到来です。これを切り口に、少し足踏みをしていた地域包括ケア活動を再開し、さらに広げていきたいと、改めて覚悟した次第です。

ガイドラインセミナーではありますが、ガイドラインの内容解説するつもりは毛頭ありませんでした。理容師法(第1条)には、「この法律は理容師の資格を定めると共に、理容の業務が適正に行われるように規律し、もって公衆衛生の向上に資することを目的とする」と明記されています。医師と同様に、“師”がついた国家試験で認められた職業であり、公衆衛生の向上に資することを目的とし、健康な国民の生活を確保するための職業です。COVIT-19関連の、期間限定的対処法が、ガイドラインには追加されていますが、最も言いたいことは、公衆衛生の専門家として、プライドと冷静さをもって、これまでの標準的な感染症対策にきちんと取組むことです。そして感染防御の徹底はもちろんですが、新型コロナに恐れおののくことないように住民へのセルフケア向上への教育や、偏見差別を除去するような積極的な活動に、個々として組合として取り組んでいただくように、エールを送って参りました。

参考までに、以下に、レジメを記載しております。

〇 UNDER CORONA  WITHには程遠い コロナ禍の恐怖に支配されたまま

  • 世界的にはブラジルや南アフリカ等 まだまだ流行は広がっている。
  • 情報提供と言いながら 恐れを誘導するマスコミ報道
  • 無症状感染者も広げる可能性  ステルス的感染
  • 3密を避ける生活様式 群れない!? いつまで続けられるか?        

人と人との接触避ける 繋がりを断つ  弊害も大きい

〇 恐怖心は危機を高める  恐れからの解放をいかに図るか

 感染拡大を防ぐため、外出や営業の自粛というふたで需要を押さえつけているのが現状 

事態が収束し、ふたを外せば需要は自然に戻る?そのとき外食、観光、文化産業の担い手の姿が消えていれば、取り返しがつかない!痛手を負う人たちが持久戦のゴールまで持ちこたえられるかどうか、とても心配だ。

 コロナの脅威から守らなければならないのは経済も同じである。「われわれが唯一恐れるべきものは、恐れることそのものだ」(大恐慌から脱却:F・ルーズベルト米大統領の言葉)

  • COVIT-19で分かっていること 
  • 新型コロナウイルスとインフルエンザの違い 

一番は わかっていないことが まだ多くあること

  • 感染力が高い  感染初期段階 無症状の時期にウイルスを多量排出
  • 潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)が長い
  • 症状消失までが長い 新型コロナウイルス約5〜6日 インフルエンザ3日ほど
  • 感染拡大のスピードは遅く 感染させる期間が長い “ステルス(忍び寄る)感”の脅威
  • 肺炎などを合併し重症化しやすい 「上気道(のど)でも下気道(肺)でも増える」
  • 広めているのは大人 インフルエンザでは子どもが感染原 子供の自然免疫>大人?  
  • 接触や飛沫の他にトイレも危険 唾液・便が感染源 (汗や尿では感染しない)
  • 致命率が高い? 約3%〜4%(この値を下回る可能性)インフルエンザ0.1%
  • 治療法やワクチンは開発中
  • COVIT-19禍からの脱却   自然災害の一つとして捉える  

水際・封じ込め作戦の失敗から 政府の対応が迫られ 市街戦に持ち込んだ感あり

当初はインフルエンザ的対応で 多少は感染しても仕方がない 共存的考え方 ⇒ 情報の氾濫 マスコミの煽りもあって 恐れおののき パニック的状況を招いた ⇒ 一人でも感染者を出さないことが目的化してしまい 闘いを挑むことになる

 医療崩壊 経済崩壊 しかし思いの他 感染は爆発しなかった・・・ 再び共存へ方針を切り替え これら一連の流れの中で、元の生活にはそう簡単に戻せない状況を招いた

恐れおののきながら 自粛生活(新しい生活様式)を強いられ 人と人の接触を避けながら、ワクチンや治療薬、迅速検査キットなどの開発普及を待つことが、収束への唯一の手立てなのか

〇 自信をもって 「自然災害」との共存を目指す

一番大事なことは 何なのか?!  感染症対策の基本に立ち返ること

セルフケア 地域(現場)力の向上 その実現に向けた公衆衛生活動である

○ところで 何故 爆発的な流行に至らなかったのか?

 対策の基本・・・①徹底的な検査に基づく感染者の同定と隔離 ②社会全体の活動縮小

 他国と比べると、日本は両者の対策とも緩やか    感染者の監視を行うこともなく、ロックダウンもしなかった。  何故か?? を明らかにできれば、今後の対策戦略に活かすことができる

<考えられる要因> 日本人の遺伝的要因(自然免疫獲得)

○正しい予防法    恐れおののく必要はない

   既に分かっている  つまりこれまで通りでいい!!  

  5Sが基本 手洗い 消毒 そして健康管理(免疫力の維持増進)    

COVIT-19対策の特徴は 飛沫感染(エアロゾル感染を含む)予防の重視に偏っている点

○新しい生活様式  人と人の接触を減らすこと?!

 ワクチンや治療薬が開発され広く一般に利用できるようになるまで、どう過ごしていくか!

 飛沫感染(エアゾロルを含む)  ソーシャルディスタンス 3密を避ける 

        多くは接触性感染 消毒と手洗い セルフケアが鍵となる

一人の感染者から〇人に感染する。〇値がRで、このR値を1以下にもっていくことが評価指標

人との接触を減らす意識の徹底と 感染者の同定を積極的に行い、隔離システムを充実する

 コロナ感染者との濃厚接触を通知 アプリ「COCOA」。 日本人に広がるかどうか 興味深い?!

   COVIT-19のせいで⇒COVIT-19のお陰で  発想・実行できることはあるのか? 

     地域包括ケア時代 共存・共生を目指す中で あくまで一時的でありたい  

      できるだけ、人と人をつなげる共生社会づくりと逆行することは避けたい

  • 検査について 早さと精度 そして安全性・目的性が問われる

①PCR等の遺伝子検査   ②迅速検査 抗原検査(鼻咽頭拭い液・唾液等)   ③抗体検査(血液)

<利用目的の明確化> 以下以外の使用目的が今後問題か?! 

①感染が疑われる方の診断のための検査 

②院内感染予防のための検査 

③市中感染の広がりを把握するための検査

 検査をどんどんすればいい ?!⇒把握される感染者数は増加   “陽性者狩り”への使用は危険

  • 理容師本来の仕事・役割とは  原点に返る

理容師法(昭和22年制定)により「頭髪の刈込み、顔そり等の方法により、容姿を整えること」

しかし、これは理容業務であって、本来の役割は・・・

理容師法(第1条)・・・この法律は理容師の資格を定めると共に、理容の業務が適正に行われるように規律し、もって公衆衛生の向上に資することを目的とする。  と明記されています。

医師と同様に、“師”がついた国家試験で認められた職業であり、公衆衛生の向上に資することを目的とし、健康な国民の生活を確保するための職業です。

  • 公衆衛生の向上に資する

 公衆衛生とはを考えてみよう(参考:アメカ公衆衛生学者:ウインスロウ 1877~1957)

医療の分野でも、患者を「“患者様”とお呼び!!」ではないが、サービス業として、患者のご要望にお応えすることが強調され、誤った方向、つまり公衆衛生の向上から離れてしまった時期がある。

理容の分野はどうだろうか? カリスマ美容師などが登場し、サービス業としての、お客様へのおもてなしが重視され、本来の公衆衛生の向上に資する役割を、見失っていたのではないか?

  • ヘルスプロモーション理念の再確認
    自然災害と闘うことと同様に COVIT-19との闘いにゴールはない
  • 感染症との闘いを 共存に切り替えた真意   自然災害への対応も同様と考えるべき 
  • 自分らしく生きるということは何か  自分で判断し 現場が協力してその実現に取組む
  • 自粛および 緊急事態宣言の効果はあったのだろうか?
  • 自分らしく生きていくための意識と行動 覚悟が必要
  • 住民のエンパワーの発想で行政や専門家が支援していく体制
  • 政治のリーダーシップは「守ること」に決め込んで、エンパワーが逆におろそかになっている可能性
  • 結局は セルフケア 地域力の向上  住民力をエンパワーすること
  • 医療や行政依存ではなく 自らどう取り組んでいくかが重要 免疫力をいかにつけるかがポイント
  • 今後について考える
  • 偏見・差別の排除・・・誰もが感染する。 感染症法の真意を重視

感染源を犯人扱いしないための施策 教育とは逆行

  • 第2・3波ではなく 第1波の延長と捉えて 冷静に取り組む
  • コロナのせいで ⇒ コロナのお陰で    きっかけとして活用する知恵
  • リスクマネジメント リスクトレードオフ の考え方
    リスクマネジメント リスクトレードオフ

 あちらを立てればこちらが立たず   リスクの有無<リスクの程度 

 リスクのバランスを考えて トータルで判断する必要性がある。

公衆衛生の維持向上に関わっている方々へ

 セルフケアの向上に どのように関わっていくかが プライドであり 鍵だと思う。

  リスクのバランス調整 リスクをトータルで見る意識  ベネフィットにも着目

 - その他