地域包括ケア時代はかかりつけ医がけん引する~日本医師会介護保険委員会最終会議~
1月31日(水)14:00~、28・29年度の2年間にわたる日本医師会介護保険委員会(篠原彰委員長 静岡県医師会長)の最終会議が開催されました。24・25年度、26・27年度は委員として、今回は大学を辞職して、日医総研の客員研究員となったので、委員ではなくオブザーバー(アドバイザー)として参加させていただいています。私の役割は、報告書のたたき台を作成し、委員の意見をうかがって、委員長の指示のもと、最終的な報告書を調整することです。今回も無事最終会議を終え、報告書は少し修正を加えることで、概ね了承されました。委員会事務局と共に胸を撫でおろした状況です。今回は『認知症になっても 暮らせる「まちづくり」』を実現するために、医師会や医療機関がどのような役割を果たせばいいか、横倉会長からの諮問を受けスタートしました。計8回の委員会で、厚労省や地域で活躍されている方々のお話や、委員の皆さんのご意見や活動報告などをうかがい、ディスカッションを通じて、本諮問に沿った報告へ至ることができました。特に今回は、地域包括ケアシステムの推進を前面に出した、医療介護の診療報酬同時改正と重なりましたので、特に住民の生活を重視したまちづくりに着目した、地域医師会やかかりつけ医の役割について、言及したところです。
報告書のテーマと目次(案)のみご紹介いたしますが、内容については、3月末には整理して、委員長が横倉日本医師会長に答申する予定です。
テーマ「認知症になっても元気に(いきいきと)暮らせるまちづくりに向けての医師会とかかりつけ医の役割(案)」
目次(案)
1. はじめに
2. 認知症対策の現状と今後の展望
(1) 国の取組の現状と課題
(2) 介護保険制度における課題
3. 地域の将来をイメージする~「元気高齢者」の育成と活躍の場づくり
4. 地域における連携の推進
(1) 行政との連携と医師会の役割
(2) 地域支援事業・在宅医療・介護の連携推進事業への参画
5. マネジメントを担う人材の育成支援~認知症サポート医の養成と活用
6. 住民意識の改革と認知症への理解
(1) 地域包括ケアシステムの一環としての認知症への取組み
(2) 認知症への対応・考え方のパラダイムシフト
(3) 住民力・地域力のエンパワメント
(4) 住民教育とかかりつけ医を中心としたネットワークの構築
7. 住まいづくり・まちづくりへの積極的な関与
8. 日本医師会の取組み
(1) 日医かかりつけ医機能研修制度
(2) かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引きの作成
9. 終わりに
この委員会は私にとって最も大切な機会です。委員長はじめメンバーは素晴らしい方々ばかりで、彼らのご意見や提供される最新の情報に大いに刺激を受けています。この委員会で検討されていることが、私の活動の骨子となっています。“地域包括ケア時代の語り部”などと自称できるのも、この委員会で学んだお陰だと心から感謝しています。まだ最後の詰めが残っていますが、30・31年度の委員会が今から楽しみです。