強力!! 看護部長のリーダーシップ ~豊郷病院在宅療養サポートセンター『とよさぽ』の底力~

   

8月8日 生活に戻すための医療ケアを実践している地域包括ケア時代の病院として 彦根保健所一押しの「豊郷病院」に視察に行って参りました。面接のお相手は その病院づくりの核を担っておられる力石泉(ちからいし いずみ)看護部長と 看護部長の理解者かつ強力な支援者である理事兼事務長の川村宏氏でした。事務長の挨拶からも 現在90年を迎えた病院を100周年に向けて 基本理念である「豊かな郷で 心と体の健康を 家族のように」の実現に向けて 大きくステップアップしたいという思いが ひしひしと伝わって参りました。それに続く 看護部長の弾丸灼熱トーク! いくつもの示唆を頂きながら 我々が口を挟む間もなく あっと言う間に2時間が経過しました。

2025年に創立100周年を迎えられるという豊郷病院。地域包括ケア時代に まさにこの理念は大切だと言うことを痛感した看護部長は 看護の理念として 「その人らしさの回復をめざし その人らしく生きることを支える」を掲げ 『自立支援』『意志決定支援』をキーポイントに してあげる医療から脱却して 患者自身が真に求める医療を追求してこられています。これまでの取り組みの甲斐あって 住民は豊郷病院について 「生活に戻してくれる病院」と評しており まさに理念が具現化していることを端的に示しています。また 看護師が生活重視の患者支援を強化すると 病院での非薬物療法が重視されることになる とうことも納得できました。「看護部長(看護師)が病院を変える」という私の持論は ここでも証明されました。

平成27年3月に策定された 湖東圏域医療福祉ビジョンを踏まえ それを実現するための原動力として 在宅療養サポートセンター『とよさぽ』を設置・強化して 看護部長の強力なリーダーシップのもと推進が図られています。看護部長自らが 先頭をきって 地域や関係機関にアウトリーチをかけ 地域の実態を把握し 関係機関との信頼関係を築いていかれました。その行動力に「あっぱれ!」と賞賛するしかありません。

わかりやすく図示したのがこれです。

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特記すべき点として 湖東保健医療圏域の豊郷病院を含む4病院(他;彦根市立病院・彦根中央病院・友仁山崎病院)が主なメンバーとして 10年以上前からネットワーク会議をほぼ1回/月のペースで開催しており 互いの病院の役割分担や連携について話し合われてきていることがあげられます。医療ビジョンが先行したことにより 全国的に 病院間で競い合うというか 連携というよりむしろ牽制し合う関係が懸念される中 当地域では 医療ビジョン等に振り回されることなく 地域の医療資源を活用するための 自主的な取り組みがあるのです。だからこそ 豊郷病院のように 生活を重視した病院の理念を追求する“ゆとり”が生まれるんだろうと思います。医療ビジョン主導ではなく 時間はかかりますが 地域での話し合いの場の充実が 今一番必要ではないでしょうか。

また 豊郷病院が リハビリ科を設置している点が やはり地域包括ケア時代の病院として 先をめざす要因と考えられますが さらに 精神科病床を併設してきたことは 大きな推進要因だと思います。精神科医療福祉に取組めば取組むほど 病床の役割の限界や 生活の場での医療ケアの重要性を痛感されてきたことが 今後統合失調症に変って 認知症が急増する中 同じ轍を踏んではならないという思いが この病院を動かしているのではないかと推測せずにはいられません。医療の進歩の過程で 精神科医療はある意味 急性期医療の発展においていかれた感がありますが 一方 社会復帰や地域活動 家族会や患者会その他 地域包括ケア時代に必要な活動が 既にこれまで取組まれてきています。これらを活かす時がまさに来た!!と思うのです。

力石泉看護部長の名の通り 熱意とマネジメント力(力)にあふれ ぶれない意志(石)のもと 病院や地域(住民)を変えるエネルギーがわき出る(泉)活動に 今後も目が離せません。

豊郷病院は間違いなく これからの地域密着型の病院モデルです。他にも滋賀県内には 全国のモデルとなり得る機関が少なからずあります。この「見える化事業」を通じて 県内のエネルギーによる県内改革 地域のエンパワメントによって 地域包括ケア時代を乗り切る地域づくりに関わって参りたいと 改めて感じました。

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