地域の主体的な活動の広がりを肌で感じる~滋賀県医療福祉推進アドバイザー600日~
滋賀県のアドバイザーをお受けして早600日が経ちました。当初は各地を回っての調査や講演会の関わりが主でしたが、このところ、明らかに変化が生じています。各地域の行政や医師会等関係団体が主体となって企画した場に、招かれる機会が増えてきています。つまり、こちらから出かけていき働きかけるのではなく、私を活用する主体性が生まれ、地域が課題解決型から目的達成型に変化する中で、方法は様々ですが、これまでにない取り組みが行われだしています。私自身ワクワクしながら地域を回れるようになりました。
11月15日(水)の午前中は日野町で、ケアマネを対象とした、ケースメソッドを活用した、その人らしい生き方を実現するための、自助・共助を引き出すマネジメント研修会。午後には竜王町で、西田町長はじめ教育長や保健福祉部を超えた全課にわたる各部幹部職員らと、円形に座って(座を囲み)、どんなまちになればいいかをイメージした、やはり目的志向型の、また行政の縦割りを是正するための(地域包括ケア時代を活き抜くには全町ぐるみで)懇談会が行われまし。いずれも初の取組みだそうですが、私が直接関わらせていただいた人たちが、自ら企画して開催され、これまでの講演会とは異なる、話し合い重視の場にお招きいただきました。
11月16日(木)は彦根市で、湖東地域の医療介護関係者が集まった、やはり課題解決から目的達成に向けてのチームアプローチ研修会が開催され、コメンテーターとしてお招きいただきました。看取りと認知症をテーマに二つのグループディスカッションが行われましたが、看取りでは「その人らしい生き方を追い求めていくことが、その人らしい死に方につながる」、認知症では「社会的弱者ケアとして疾病管理ケアで対応するのではなく、生活の不自由さを調整することで、自分らしく生き地域に貢献できる元気高齢者として自立支援を行う」など、高齢化社会を前向きに捉えたまちづくりをイメージした、多職種連携の推進が図られました。
11月17日(金)の午前中は彦根市にうかがい、保健福祉部とこども未来部の各部長はじめ幹部による、ケースメソッドを取り入れた福祉施策学習会(特別企画)に、アドバイザーとしてお招きいただきました。企画をされたのは、彦根市の福祉部の幹部事務職員で、県のケースメソッド研修に参加された課長さんたちです。私が進行するのではなく、彼らが進行し私がコメントするといったスタイルです。行政職員が住民の主体性を引き出すために、“してあげる”から“求められる”にどう展開していくか、目指すべき明るい彦根市のイメージを住民と共有して、その実現に向けた行政マンの在り方について、熱心に話し合われました。補助金行政でがんじがらめの地方自治体が、課題解決型から目的達成型に意識を変革し、地域特性を活かした地域づくりに向けて、住民力・地域力を引き出すマネジメント力をいかに発揮するか、その重要性が確認されました。
住民文化をいかに醸成していくか、そのために関係者と住民がいかに目指すべきイメージを共有して、その実現のためのパートナーシップを組んでいけるか、時間はかかってもそれが最も大切であることを確認できたこの数日でした。
その後、井伊直弼や“ひこにゃん”で有名な、紅葉盛りの彦根城に立ち寄りました。いつの間にか、もうすぐそこに冬が近づいていることを体感しました。しかし一方、滋賀県のアドバイザーをさせていただいて、このところ各地から、確かにその反応が返ってきていることを直接肌で感じることができて、なぜか心はホットです。これからがますます楽しみです。