在宅ホスピスから地域包括ケアの真意を確認する〜滋賀県在宅ホスピス薬剤師公開講座 〜

   

12月1日(日)13:00から、滋賀県草津市の「ニプロiMPE」ニプロホールにて、在宅ホスピス薬剤師公開講座が開催され、講師としてお招きいただきました。テーマは「在宅ホスピス薬剤師に向ける薬剤師の今後の役割」で、薬剤師が地域包括ケア時代をけん引するためのマインドについて熱弁して参りました。

今医療者に求められるのは、マネジメント能力であるといっても過言ではありません。多職種連携が強調されていますが、マネジメント力が醸成されない中での連携促進は、医療者のそれぞれの都合重視からの、依頼や役割分担、やがては愚痴のこぼし合いに終始します。私はこれまで医療現場で、住民・患者の立場にたってと言いながら、医療者側の都合を押し付けている専門家達をさんざん見てきました。世間でも、選手ファースト、子供ファースト・・・アメリカファースト 〇〇ファーストという言葉がトレンドですが、果たしてその真意は理解されているのでしょうか? 患者ファースト、住民ファースト・・・ファーストとは、患者や住民のためにしてあげることを一番に・・・ではなく、○○が目指していることを一番に実現するという意味であることを、噛み締めて欲しいのです。“してあげる”といことは、結局はしてあげている側の都合を押し付ける、いつの間にか薬剤師ファーストになってしまうのです。住民・患者の力は引き出されないどころか、依存するかパワレスになるといった逆効果につながってしまうのです。ACP(人生会議)と言いながら「人生の最後にどんな医療措置を求めるか」と、まさに医療者の都合を押し付けるような解釈は、「してあげる」型の代表例で、ACPの真意をゆがめています。あくまで「今後の人生をどう送りたいか」の話し合いであり、それを目標にしてチームが協働するのです。目指すことを協力して引き出すことで、○○ファーストの意義が見えてくるのだと思います。だからこそ、患者ファーストを可能にするのは、サービスの提供ではなく、本人が何を求めているかの明確化であり、共有であり、そして協働なのです。そいったマネジメント力を果たすことで、患者や周囲の環境はエンパワーされ、地域で自分らしく生きていく意欲や行動、そして地域が育まれるはずです。約1時間の短い講義でしたが、専門性にどうしてもすがりがちな薬剤師にとって、患者ファーストを常に意識することの大切さを強調して参りました。

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