幡多からの発信「みんなが主役・みんながつながる」~第18回四国地域福祉実践セミナー~

      2021/07/13

7月10日(土)、宿毛市総合社会福祉センター 大ホールにおいて、「第18回四国地域福祉実践セミナー ALL幡多in 宿毛」(実行委員長:安田龍平氏 宿毛市社協)が、「みんなが主役、みんながつながる~コロナ禍でもつながる、つながり続ける~」をテーマに開催されました。昨年はコロナ渦の影響で見送ることになり、今年は「何が何でも」という「チーム幡多」の強い結束力で、幡多郡の宿毛市・四万十市・土佐清水市・黒潮町・大月町・三原村等の社会福祉協議会が主催となり、日本地域福祉学会の共催を受けて、2日を1日に短縮して、ZOOMと会場との「ハイブリッド」ではありますが、開催にこぎつけました。この気持ちが伝わったのか、会場には250名余り、リモートで550名余りの参加者800人を超えとなりました。四国の社会福祉協議会の関係者にとどまらず、医療関係者や行政、民生委員等住民やさらには高校生の参加もあり、セミナーというより、さながら大会ムードになっていました。

これまでの縦割りの福祉、支え手側・受け手側の一方通行な関係性から脱却し、誰もが地域社会で役割を持ちながら暮らす「地域共生社会」の実現に向け、多様な担い手によって構成される共生の地域づくりへの実践を考える。そして、コロナ渦によって対面的な活動やつながりが制限される中、「コロナ禍でもつながる、つながり続ける」といった新しい生活様式への工夫を話し合う…が主な狙いです。

最初に「鼎談:みんなが主役、みんながつながる共生の地域づくり」が行われました。地域福祉とは 地域共生とは 住民主体とは 福祉教育とは アクティブエイジングとは プラットフォームづくりとは まちづくりとは等々の真意を理解するとともに、コロナのせいでではなくコロナのお陰でと言えるよう、このピンチをチャンスに変えるために、頭と心を整理するオープニングセッションとして企画されました。私はその一人として今回お招きいただきました。大橋謙策氏(日本社会事業大学名誉教授、特定非営利活動法人日本地域福祉研究所理事長)の進行で、越智和子氏(社会福祉法人琴平町社会福祉協議会会長)と共に、約90分間の熱く楽しい時間を過ごさせていただきました。相変わらず空気の読めない私ですので、大橋御大に平気で食いつく局面が多々ありましたが・・・楽しんでいただけたでしょうか? 

その後、実践発表&セッションとして、“コロナでとまるな コロナでとめるな”をテーマに、雑賀正彦氏(高知県立大学 社会福祉学部助教)が「船頭!?」となり、四万十市・黒潮町・宿毛市からそれぞれ、コロナ禍での「CSW~「地域がつながる」を考える~」、「多機能型拠点~NPOと社協が担い合う生活支援~」、「顕在化した地域課題への対応~特例貸付」、といった話題提供が行われ、コロナ渦において、社会や人々を分断することを余儀なくし、新たな困窮と捉えるべき課題への対応や、地域や人々をつなげる活動など、個別支援や地域支援を通じてつながる、つながり続けるからこそ見えてくる共生の地域づくりについて話し合われました。そして、このセミナーの育ての親ともいえる大橋謙策氏が、総括講演(40分)によって、本セミナーへの期待とエールを送られました。大橋先生は御年78歳!! 出ずっぱりにもかかわらず、気を抜くことなく常に熱いメッセージを発信され、体力・知力・精神力共に脱帽です。私自身本当にエンパワーされました。

 その他文化と福祉の融合を狙って、俳句表彰もありました。今回は大懇親会は断念され、これにて散会となりましたが、次年度開催予定の今治市での再会を約束して5時間のイベントを閉じました。

今回ハイブリッド開催で、しかも鼎談ではありましたが、対面での発信が久しぶりにできたことに心から感謝しています。幡多の関係者に感謝!! 皆様お疲れ様でした!!

〇鼎談での要点は以下に記載しました。

Ⅰ、みんなが主役――地域福祉の主体形成と「選択的土着民」の意識化

その地が好きで、その地の宝物を大切にする生き方を選ぶ人を”選択的土着民“と呼び、そうでない人を”宿命的土着民“と呼ぶ。

住民は「してもらう主役」から 「自ら取り組む主役」へ  

支え合うということは お互いの力を引き出し合うこと

 してあげることが 押し付けにならないために 

常に 目的を共有してエンパワメントを意識する

ボランティア活動 元気高齢者育成支援 有償ボランティア

 してあげ型→その人らしい生き方をエンパワメント

地域デザイン 課題解決型→目的達成型へ

 本人主体 医療や介護制度の依存から活用へ

Ⅱ、みんなが発見し、考える力の醸成―――福祉教育の推進

  何のためを意識 目指す地域イメージ  問題課題からではない どうありたいか

  共生と予防 認識   課題解決型→目的志向型→目的達成型

Ⅲ、みんながつながる共生の地域づくり

共生  誰かのためにではない

 当事者からの発信  認知症対策を基盤に

つながる  ネットワークでエンパワーどっち環境づくり

社会的弱者を生み出さない 元気高齢者の育成支援

支える 支えられる人を区分しない

  地方行政と住民の関係性再構築

行政の責任の住民の活動とが“車の両輪”になるつながりの展開

社会福祉協議会がそれをつなぐマネジメント役になることを期待したい

 - 地域包括ケア