看護師とMSWの関係性 “MSWよ 病院の外に出ていこう!!” ~国立大学医療連携・退院支援関連部門連絡協議会 in 岐阜~

      2023/09/10

第19回国立大学医療連携・退院支援関連部門連絡協議会が、岐阜大学病院主催で、令和5年7月21日(金)-22日(土)、じゅうろくプラザ(岐阜市文化産業交流センター)において開催されました。コロナ禍の昨年は「リモート」で何とかつなぎ、今回は待ちに待った現地での対面開催、その思いの表れでしょうか、約400名が集まりました。

国立大学病院職員から既に8年前に離れている私ですが、ありがたいことに、座長や講師としてこれまで何らかの形でかかわらせていただいています。今回は主催者の堀川先生(岐阜大学病院教授:患者サポートセンター副センター長)からお声がかかり、メインシンポジウムにおける座長としてお招きいただきました。

シンポジウムのテーマは「Patient Flow Management(PFM)の一元化」で、1時間(15:00~16:00:21日(金))という短い枠ですが、予定時間を20分余り超過するという、堀川氏と私のやっちまった進行となりましたが、お陰様で会場の盛況ぶりに支えられました。

 “WELL BEING”を目指し、生活に戻すためのエンパワメントを狙いに、病院全体として医療連携・退院支援をいかに展開していくのか、どの大学病院もこの20年間で確実に進化を遂げています。しかし疾病対策中心は相変わらず、病院文化としての生活支援は発展途上であり、まだまだ課題は山積です。

今回私が特に注目した点は、MSWと看護師の関係性・役割分担です。永遠のテーマと言っても過言ではないと思います。多くの大学病院では、看護師が当部門のリーダーとして、看護師やMSW等を束ねて、それぞれの機能の違いに着目してエンパワーし、多職種連携を図っています。見かけ上は、互いの連携は上手くいっているようにも見えます。しかし今後のさらなる発展を考えると、この関係性の見直しよる大転換が必要だと思います。

MSWは“M”がついたことで、“SW”本来の福祉・生活重視が多少ぼやけて、医療者との関わりのもと、疾病管理に振り回されて、生活に戻すための推進力にどうしてもブレーキがかかります。また一方で医療者ではなく事務職として区分されることが多く、将来的にMSWとしての地位が獲得しにくい環境にあり、当然モチベーションの維持向上に悪影響があるでしょう。

看護師か生活を軸足においた患者・家族の支援を行うのは、まさにアイデンティティーそのものであり、そのことに気づいた看護師は急増しました。しかしMSWがそれまで支え推進してきた業務への理解や、将来的な役割の明確化と連携を考えているかというと・・・互いの得意分野の分担に甘んじている状況ではないでしょうか?

生活支援を病院文化として醸成していくために、看護師とMSWがしっかり話し合ってプランを作成し推進していくことが求められていると思うんです。どちらから声を上げてもいいのですが、間違いなく言えることは、MSWが院内に留まっている時間が長いということは、当部門が患者を速やかに退院させるための、病院にとって都合のいい一機関であり続けるということだと思います。

病院の外にMSWが出ていこう!! アウトリーチにもっと時間をかけて、医療が生活資源であり、入院は退院のため、その人らしい生活を実現するためであることを、地域の文化として、医療福祉関係はもちろんのこと、患者・住民に発信・醸成していくことが、当部門の目指すべきゴールなのです。MSWを活かせれるかどうか、今そのステージに至りつつあるのではないか? ましてや大学病院の役割として、使命感をもって取組んで欲しいとつくづく思う次第です。看護師との役割分担ではなく、MSWの真価を発揮できる体制へと、当部門が取組んでいくことを、当部門の次のステージへのメッセージとして送りたいと思います。

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