産業医活動の実際③ ~富士通・NEC~

   

私の日常業務の割合を結構占めているのは産業医活動です。事業所の業種は様々ですが、中でも、終始パソコンに向かっての作業でストレスフルな仕事の代表格「IT関連」との関りは長くなりました。松山市にはNECと富士通関連企業があり、それぞれ十数年間、嘱託産業医を続けてきています。メンタルを要因とした長期療養者が次々と生まれる環境で、私にとってもストレスフルでしたが、継続できた理由は、頼りになる保健師が、それぞれ常駐していることだと実感しています。 彼らに共通しているのは、企業に雇われているにもかかわらず、 保健師として職場側の都合を優先しない独立したスタンスで、職員の健康管理や職場環境づくり取組んでいるところです。 つまり、メンタル不調者を排除するような企業の都合に影響されないように、産業医の立場を確保し、事業者側へ本筋をきっちり発言できるように活動を全うされています。 そうだからこそ、互いの信頼関係を築けれているんだと思います。私は月に1 ・2回程度の訪問ですが、「産業保健師」のおかげで、適宜適切な役割が果たすことができ、に事業所の健康経営に「役に立っているかな」と自分なりに感じることもでき、感謝!感謝!!です。

私にとって、産業保健師と共に活動できる場は、仕事場というより学びの場となっています。 安全衛生委員会への参画や職場巡回パトロール、長時間労働対策、 高ストレス者や復職者への面談、さらにはイベント企画への参加等々内容は多岐に渡りますが、やりがいを感じることができています。

もともと卒業時には、精神科医、 特に今で言う心療内科の分野に行こうかと迷った時期もありましたので、こういった形で、メンタルヘルス、しかも 産業衛生(公衆衛生)的な観点から関われるようになるとは思ってもいませんでした。

精神科医の専門ではありませんが、 公衆衛生・産業衛生の専門からの快適な職場づくり、健康経営推進を目指すための、マネージメント活動と連動したメンタルヘルスに重点を置いた産業医活動ができることは、我が運命(ライフワーク)を感じています。今後とも スキルアップできるように、経験あっての産業医ですので、研鑽していきたいと思っています。

ところで、企業によって安全衛生に対する取組みは様々です。富士通とNECは、同じIT分野ではありますが、企業体質がずいぶん異なります。 端的に言えば、大手の割に富士通は決まりごとが比較的少なく、融通が効きやすいところがありますか、NECは明確なルール(決まり事)が多種多様あり、産業医活動にも制限がかかりがちで、多様性を考慮した対応に不具合を生じがちです。

確かに、ルールやマニュアルは一見対応をスムーズにしますが、メンタルのような事例性の高いケースには、当てはまらないことがよくあります。産業保健側がルールに固執することなく、自由度を持って対応できる方がいいように思います。 企業風土というか、その違いを踏まえながら、 それぞれのシステムの改善を図ることをねらいに、産業保健師と及び我々を支えてくれる 関係職員とともに、焦らず地道に進めていきたいと思います。

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