産業医活動の実際②~産業保健師をサポートする~

   

少子高齢社会の日本の危機的状況を切り抜けるためには、働き方改革が叫ばれています。一人一人のパフォーマンスの向上を図り、生産性を上げていくという方向性は極めて重要です。働き方改革の狙いは、長時間労働の軽減ではないことは周知のことですが、事業所において、健康経営という言葉を納得して受け入れ、その真意が浸透している状況とは思えません。

生産年齢人口の低下に対応するには、人口に頼ることで日本が他の先進諸国に後れを取ってきた人×時間型の労働体系の大転換が必要です。高齢者や障がい者 そしてあらゆる人たちのパフォーマンスを引き出し活用できる環境づくりが必要です。 その理念が公衆衛生には存在し、医療や介護はもちろん、その他あらゆる地域の資源を活かすことによって、 人々や環境をマネージメントして行くことが、公衆衛生の使命だと考えています。 それを実質的に担うのが保健師だと、これまでも今後も、そう私は考えています。

保健師のアイデンティティは、 まさにマネージメント機能にあると思います。 個々へのセルフケア支援 においても、 地域や事業所の健康経営においても、 保健師がそれぞれの地域を引き出す いわゆる「エンパワーメント」に向けた マネージメントが 期待されます。

Public healthナースは保健師の英訳ですが、public healthは日本では公衆衛生とほぼ同意語ですが、昨今、予防医学や疫学調査といった狭い範囲に追い込まれ、もはや絶滅危惧種扱いです。本来の公衆衛生の意味がゆがめられ、かすんでいます。 私としては、public health を、ヘルスプロモーションとして再評価し、公衆衛生本来の理念を展開していくことに、これからもかけていきたいと思っています。

そのためにも 保健師本来の機能役割を発揮できる人材育成と環境整備が必要です。 特に 事業所が 働き方改革の中で、幅広い生産年齢人口対象に、そのパフォーマンスを引き出す健康経営へと、ようやく注目を浴びるようになりました。これをチャンスに、 公衆衛生理念を、事業所運営に活かすことによって、急速に進む少子高齢化の我が国の危機を、乗り越えることも充分可能だと考えています。

まずは足元から・・・ 私と一緒に順風会で勤務している保健師達との勉強会というか、保健師と共に事業所の健康経営の実現に向けたサポートに関わるスタッフと共に、今後の活動展開への打ち合わせ会という名目で、彼らの人材育成と活動環境整備に取組むことにしました。 今日はその正式なスタートになりました。 まさに小さな一歩ですが、 私がこれまで取組んできた自信を基盤に、しっかりと進めていきたいと思っています。

私がイメージする将来の地域づくり・事業所づくりにおいて、 公衆衛生は極めて重要な理念であり、それを一貫して専門としてきた私としては、 特に保健師を活かすことによって、実現を加速化したいと考えています。

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