商助:第16回近江八幡市第1層協議体会議
12月19日、第16回近江八幡市第1層協議体会議が開催されました。地域や事業者等が連携して高齢者の力を引き出し合い、誰もが住み慣れた地域で暮らし続けられる地域づくりに向けて、近江八幡市“ささえあい商助”推進会議を第1層協議体会議として位置付けて開催してきています。事業者や地域、また地域の支援者の立場など様々な視点から、コロナ禍での取組や高齢者の状況、また、コロナ禍が明けてからの変化や最近の取組等について、話し合われました。
当市の生活支援体制整備推進アドバイザーとして数年にわたって、商助の推進など関わらせていただいています。今回は現地に赴き、久々の対面会議に参加で、懐かしいメンバーと再会することができました。今回の私の役割は、高齢者の「Well-being(ウェルビーイング)」についての講演と、当会進行の位置役を果たすことです。
2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)における17の目標の1つ(目標3)に「Good health and well-being」(全ての人に健康と福祉を)とあり、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標の1つとしてウェルビーイングが位置づけられています。“高齢者を取り巻く環境や生きがいづくり”の上でも、ウェルビーイングが注目されてきています。
だからこそ、「自分らしくどうありたいか」といった、広い意味でのセルフケアが重要になってくるんだと思います。
しかし、そもそも「Well-being」は、WHOの健康の定義として、世界保健機関(WHO)憲章の前文の一節です。“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.“ ずいぶん昔からある、古くて新しい言葉なんです。直訳すると「幸福」「健康」という意味ですが、「満たされた状態」を指しています。ということは、決して一律の評価で測れるものではなく、一人一人異なる解釈になるのです。
30分強の講演でしたが、その後の参加者の発言に、その意志が伝わったことを実感させていただきました。
<参考1>商助(しょうじょ)とは
商助(しょうじょ)とは、近江商人の売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よしの精神にのっとり、企業や事業者が地域への貢献に努力し、商いが地域を助け、地域が商いを助けるしくみを、高齢者の自立した生活の支援体制の整備に活かしていくしくみづくりをすすめるものです。
高齢者にしてあげるサービスではなく、高齢者や地域が本来持っている能力を引き出し、湧き出させる(エンパワーメント)中で、今ある資源を活かしながら互いに参加し、活用しあうことが多様な可能性へとつながります。
具体的には、事業者が宅配のついでに高齢者の生活支援となるような手助け(ゴミ出しや電球交換など)をしたり、高齢者の集いの場所としてスペースを提供するなど、実際の事業活動以外に高齢者や地域の自立促進となるような行いをすることです。
「商う」の語源は、「秋、行う」だという説があります。昔、秋になると収穫した米を中心に、各地で物々交換の市が開かれました。この市が地域の生活を支える取り組みとして位置づいていました。このもともとの語源にのっとり、商いを通して地域全体で支え合うことができるまちをめざします。
<参考2>近江八幡市:高齢者へのニーズ調査結果
第8期近江八幡市総合介護計画の最終年度となり、第9期計画の策定作業を進めています。高齢者を取り巻く状況について把握するため、「外出の状況」や「地域活動への参加状況」、「地域づくりの参加意向」、「生きがいの有無」、「可能な支援と地域にしてほしい支援」等の様々な項目についてニーズ調査を実施しています。
その概要を以下に示しています。
〇外出の状況・・・週1回以上外出している人は、自立高齢者では90.6%、要支援認定者では72.0%でした。外出機会の状況では、自立高齢者は3割ぐらい、要支援認定者は6割の人が、コロナ禍の影響と合わせて、足腰などの痛み、トイレの心配、外での楽しみがない等で外出を控えていました。
〇地域活動への参加状況・・・ボランティアグループなどから収入のある仕事までいろいろとありますが、月1回以上参加している人の割合は、自立高齢者の人は、スポーツ関係のグループやクラブ、収入のある仕事、趣味関係のグループが約2割でした。要支援認定者の人は、介護予防のための通いの場が約2割で最も多い結果でした。
〇就労の状況・・・自立高齢者で、月1回以上就労している人は22.4%ですが、今後の就労希望がある人の割合は32.6%となっています。男性全体の4割、男性の前期高齢者の約5割に就労希望がありました。
〇いきいき百歳体操について・・・自立高齢者では知っているけれども、体操実施をしたことがない人が5割、知らない人が3割となっています。要支援認定者は、知っているが体操実施したことがない人が4割、知らないという人は2割となっています。自立高齢者は、いきいき百歳体操以外に取り組んでいることがあるというのが2割ありました。年齢別では65歳~74歳の人は、参加対象でないと感じるというのが最も多く、85歳以上では逆に体力的にちょっとついていけないと感じる人が最も多くなっていました。
〇地域作りの参加意向・・・高齢者の社会参加、地域づくりについて”ぜひ参加したい””参加してもいい””既に参加している”という人を合わせますと、自立高齢者は6割、要支援認定者は4割となっています。
〇生きがいの有無・・・生きがいがあると答えた割合は、自立高齢者は7割、要支援認定者は5割となっています。
〇可能な支援と地域にしてほしい支援・・・自立高齢者も要支援認定者も、主に外出の際の移動支援、話し相手といったところが多く、特に自立高齢者の場合は、自分が地域にできる支援についても同様の内容でした。自分ができることよりも地域してほしい支援としては、自立高齢者の場合は、大型ごみの処理が少し多くあります。
〇暮らしや福祉などの困りごとがあったときの相談先・・・自立高齢者も要支援認定者も一番多いのは家族・親族であり、7割を超えているという結果でした。自立高齢者の場合は、続いて市役所の窓口、そして友人知人という順で続いております。また、要支援認定者は、介護保険サービス事業者(ケアマネジャー等)、地域包括支援センターの順に続いております。
全体を通して見ていくと、個人レベルのところでは、やはりコロナ禍の影響により外出を控えたり、地域の活動への参加から遠のいている現状がうかがえました。