国立大学病院が地域包括ケア時代の医療を牽引する〜第16回国立大学医療連携・退院支援関連部門連絡協議会〜
7月5日(金)13時から17月6日(土) 12時まで、九州大学医学部 百年講堂において、九州大学病院主催で、第16回国立大学医療連携・退院支援関連部門連絡協議会(大会長九大病院医療連携センター長:水元一博氏)が開催されました。私は、第1回から参加し、大学を辞めるまでの13回、幹事校として毎年皆勤賞で参加し、企画運営に積極的に関わってきました。大学時代の私のホームグラウンドと言って良いほど、思い出・愛着のある場所です。この会から派生した「日本医療連携研究会(理事長:小林利彦)」の初代代表として、当連絡会議と二人三脚で、同志たちとともに、大学における医療連携・退院支援分野の発展に努めて参りました。大学職員が連絡会議の会員資格ですので、もう参加することはないと思っていましたが、ありがたいことにその後も度々お声がかかり、今回もパネルディスカッションのモデレーター(座長)として、出席することができました。
私は、結局会初日には間に合わず、夜の情報交換会からの参加となりました。「情報交換会」は、ある意味メインイベントですが、水元大会長肝いりで、地元老舗ホテル西鉄グランドホテルで開催され、料理の質は最高峰、さらに全国から持ち寄られた地酒、そして九大生のバンドコンサートなど、同志らとの再会の喜びとともに、素晴らしい時間を過ごすことができました。
2日目が私の出番です。今連絡会は、「教育と経営から地域連携を考える」を全体テーマとして掲げ、4つのサブテーマ、①地域医療を支える医療職の教育~教育拠点としての大学病院の役割〜 ②病院経営の選択~重症度、医療・看護必要度と病床稼働率〜 ③入退院支援と病院機能評価等(第三者評価)~学んだこと、取り組んだこと~ ④地域連携における最近の取り組み を設定し、それぞれパネルディスカッションにより、ともに考え学びあいました。私の担当は、②「病院経営の選択~重症度、医療・看護必要度と病床稼働率」であり、昨夜の情報交換会の後遺症を引きずりながら参加いたしました。九大病院の経営の要として活躍されている西山謙氏と共に進行させていただきました。私からのコメントの概要を以下に記載していますが、古巣に戻った感激で、思いの丈を語らせていただきました。病床稼働率についてどう考えるかなど、座長間のバトルもあり、ついつい過激になって、顰蹙を買ったのではないかと、ちょっと反省しています。
連絡会議に続いて、午後からの日本医療連携研究会が開催されることが恒例となっており、今回も連絡会議参加者に地元の関係者も加わり、大盛会であったとのこと‼️私は別件の用務のため、参加を断念して大阪に向かいました。申し訳ありませんでした。
<コメント>
診療報酬は、従来のサービス提供体制重視から成果主義へと、大きく舵を切ろうとしている。診断治療中心の疾病管理ケア重視では、超高齢社会における医療の貢献度を著しく低下させることが明らかであるためだ。今後は王道の医療が推進され、そのために診療報酬も変化していくが、その誘導だけでは限界がきていることも明らかである。診療報酬に基づく(追従する)体制の見直し(後追い)からいかに脱却し、診療報酬の進む方向を予測して、先取りした構築を図っていくことが肝要である。特に大学は、これまで教育・研究分野で地域のリーダーシップを図ってきているが、今後は、最先端医療の解釈を拡大し、超高齢社会に適応した医療のあり方を、各地域の特徴に応じて推進・マネジメントしていくことが期待される。特に、生活に戻す、つまり「その人らしい生き方や死に方」を実現するための医療の役割を、本来の成果として受け止めて、(超)急性期病院としてのモデルとなるような、先駆的な取り組みが期待される。看護師は生活を軸足においた医療を展開するといったアイデンティティを再確認して、診断治療に軸足を置いた医師との両輪で、生活に戻すための医療の充実強化を図っていかなければならない。診療報酬を解釈する上で、この王道の医療の進む方向を見誤ることなく、ぶれずに進んでいくことが、大学病院の使命として心得えなければならないと思う。