医療を生活資源に! 地域を活性化する産業興しへのチャレンジ〜南宇和心の健康を考える会〜

   

7月1日(月)15:00〜、愛南町役場大会議室において、「南宇和心の健康を考える会」(会長:長野敏宏氏)の総会・定例会が開催され、いつもは講師としてですが、今回は趣向?!を変えて、コメンテーターとしてお招きいただきました。35年前、私が当地の保健所長として立ち上げたこの考える会、継続しているだけで素晴らしいのに、どんどん進化しています。長野会長はじめ地元メンバーの配慮で、年に一度の総会は、会開設の原点に返る機会だと、毎年呼んでいただいていますが、その度に方向はぶれずに発展している姿を肌で感じさせていただき、嬉しくまた光栄に思っています。
総会行事の後に、「愛南町の“今”」〜注目トピックスの紹介〜をテーマに、定例会が行われました。現場からの報告をもとに、ディスカッションにつながり、その意見を伺って、コメントをさせていただくのが私の役割です。
まず、地元愛南町の自殺対策計画について、船平依里氏(愛南町役場 保健福祉課)から話題提供がありました。多様な対策について検討され、計画に盛り込まれていますが、阻害要因の除去(課題解決)に留まらず、生きることへの促進要因への支援 エンパワーの観点を最重視することを強調されていました。地元計画は何のために立てるのか、地域特性を踏まえた対策は何か?まさに、この地で生きることを考えることで、その答え、方向性が明らかになるのだと思いました。
次に、共生福祉会「いちごの里」の取組みについて、岩村清江氏(サービス管理責任者)からお話がありました。日中サービスに積極的に取組んでおられ、地域生活支援拠点としての役割を重視して、共生型生活介護の観点から、地域包括ケア時代の真意を捉えた、先駆的活動をされています。課題解決ではなく、どのような地域を目指しそれを実現するためにどのような施設運営を目指すかの大切さ、在宅は自宅と決めつけるものではなく、むしろ自分らしく生きる、エンパワーされる施設であれば、在宅として積極的に認知し広げていく必要があると共感しました。
3番目には、指定障害児者相談支援事業所「ままと」について、昨年保健師を退職したばかりの竹場妙氏(管理者)から、開設してまだ2ヶ月ではありますが、活動報告がありました。セールスポイントとして愛南町をエンパワメントすることを掲げて活動されています。流石竹場さん、私が推進しているMCCEサイクルに一致した、地域包括ケア時代に持つべきマインドと全く共通した取組み姿勢に納得しました。
4番目には、サツキマスプロジェクトについて、森優輝氏(多機能型事業所 南生:愛媛大学の農学部出身)から、ご当地サーモン養殖への取組みのお話がありました。サーモンは養殖期間が短く冬の空き生簀が活用できるメリットがあるそうで、まだ生産量は少なく知名度も高くないのですが、サツキマスを地元ブランドにするため日々研究・実践に取組まれています。多機能型事業所に籍を置いているのは、生活をエンパワーする観点から、障害者とともに地域づくりを進める、「地域活性化につながる産業を起こしたい」という長野先生らの熱い想いに共感したためです。
最後は真打登壇! 当会の長野敏宏会長(御荘病院長)が、NPO法人「ハートinハートなんぐん市場」の代表者の立場から、愛南町産アボガドのブランド産業進展報告と、これまでの報告全体の総括をされました。なんぐん市場の設立趣意 (H18.4)には、①様々な立場の住民が、共に参画し、地域振興・環境保全・就労支援活動を通じて地域貢献を行いたい。②地域活性化につなが産業を興したい。すべての人が生きる礎(いしづえ)となる産業を、「福祉」の視点や担い手から興し、あらゆる人が生きて(活きて)いけるような地域にしたい! ③私たちの街が、いきいきとあり続けるために、すべてのひとが、誇りを失わず、生涯を全うできる社会へ・・・等々が明記されています。それを着実に実現されているプロセスや現状について、熱く語られました。リカバリーイノベーションや災害ネットワークづくりなどにも触れられ、私があえてコメントする必要性がないほど、愛南町の“今”を総括し、今後の地域づくりのイメージをアピールされました。
私からは、原点に返るということで、①手段の共有ではなく 目的の共有 手段は多様 やりたいことをやる姿勢の重視 ②エンパワメントの重要性 ③働く場の確保・創造 地域ブランドとなる産業を興す ③それぞれの都合優先の取組みを、地域力アップにつなげるための「この指とまれ!」のマネジメント・・・など、愛南町には釈迦に説法を覚悟して、コメンテーターの役割とさせていただきました。来年はまだどんな進化を遂げているのか!  楽しみです!!

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