主治医意見書にかかりつけ医としての「社会的処方」を書き込む~第6回 日医地域包括ケア推進委員会~

   

12月20日(金)14:00~、日本医師会館において、第6回 日医地域包括ケア推進委員会【中尾正俊委員長(大阪府医師会 副会長)】が開催され、オブザーバー(アドバイザー)として参加しました。いよいよ今回を含めて後2回となり、最終の第7回委員会に向けて、ご意見をうかがう機会となりました。前回の10月の委員会でのご意見を踏まえた答申案のたたき台を、私と事務局の方で前もって準備して臨みました。会に先立ち、江澤常任理事や中尾委員長から、介護保険に関わる検討会の動向や特に主治医意見書の課題や活用等についての報告された後、私の方から、答申案のたたき台について説明し、答申案作成に向けたディスカッションが行われました。前もってたたき台を、全委員に送付しておりましたので、「尊厳の保障と自立支援」重視の観点から、答申書作成に向けて、委員全員から多くの活発な意見をいただきました。その一部を以下に記載致しました。
〇過剰サービスの弊害関連・・・医療や介護における、本人の意思・希望等を考慮しない過剰なサービス提供が、尊厳の保障や自立を妨げている現状がある。これまで「してあげ型」の過剰なサービス提供体制を見直すことが重要である。
〇主治医意見書関連・・・社会的処方を重視した意見書の活用は、尊厳の保障や自立支援の観点から、地域包括ケアの深化に欠かせない。リハビリテーションマインドを持った医師が、多職種をマネジメントして、その人らしい生活に戻すための共通のツールとして、主治医意見書の内容を充実し活用することが求められている。主治医が変わることによる内容の不連続や齟齬が生じることの無いよう、主治医意見書に関わる研修会等、記入方法に限らず、地域包括ケアマインドの醸成と併せて、かかりつけ医はもちろんのこと、病院の医師に対しても積極的におこなわなければならない。
〇有床診療所と地域包括ケアシステム・・・有床診療所は長い歴史の中で、地域生活に密着して医療を提供し、生活を支えまた看取りも担ってきている。未だ縮小化傾向にある有床診療所を支え活かすことで、地域包括ケアの推進に有効であると。
〇「地域密着型の病院」の定義・・・地域支援型病院と区別については明確ではなく、また有床診療所との位置付けについても同様である。地域密着型の病院・病床として、地域包括ケア推進に積極的に関わり、生活支援や地域づくりに、医師会やかかりつけ医と共に、地域にアウトリーチをかけ、住民の生活や自立支援に協働していただくことが期待される。
〇ACPについて・・・ACPはあくまで住民の主体性に基づくものであり強要すべきものではない。そのため適宜適切な活用を図ることが重要であり、少なくとも、①死について想像できる段階 ②1年以内に死ぬことが想定できる段階 ③終末期の段階のレベルにおいて、活用されることを普及促進していくことが望ましい。
〇かかりつけ医の予防を重視した「社会的処方」・・・かかりつけ医機能として、予防の観点を重視し、フレイル予防を狙いとした後期高齢者の問診票を、かかりつけ医の日頃の診療や、通いの場へのアウトリーチなど、積極的に活用することにより、その人らしい生活を重視した自立支援を行っていくことが期待される。等々・・・
来年1月31日(金)の最終の委員会に向けて、いただいたご意見をもとに、速やかに答申案を作成する責務が私にはありますが、やりがいを感じています。

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