地域包括ケアマインドの普及:「尊厳の保障と自立支援に資する地域包括ケアシステムの深化・推進へ向けて」〜平成30・31年度地域包括ケア推進委員会 最終会議〜

   

令和2年1月31日(金)15:00~、東京駒込の日本医師会館において、平成30・31年度の地域包括ケア推進委員会の最終会議が開催されました。各論部分はこれまで各委員から会議やメール等でいただいたご意見を反映させて、私の方から報告させていただきました。①本来行政が積極的に取り組むべきではあるが、医師会やかかりつけ医がサポートすることで推進され効果も期待できる。②特にケアマネージャーの質的向上や量的確保は重要課題となっている。ケアマネージャーの資格試験の合格者は減少しており、一方ケアマネを辞めて介護福祉士に変わるケースも増えている状況がみられる。給与面の改善だけでなく、ケアマネの研修体制の充実や働きやすい環境を整備し、適切な評価のもとで活躍できるような体制整備が求められる。③緩和ケアが終末期の消極的な医療として考えられていた状況は大きく変化し、今や緩和ケアは、がんに関わらずあらゆる疾病にも広がり、死に方の支援ではなく、その人らしい生き方を実現するために、積極的に活用されるようになった。専門病院や在宅医療専門機関だけが、緩和ケアに関与するのではなく、かかりつけ医など生活に寄り添う医療・介護者においても、緩和ケアを理解して積極的に関わっていくことで、在宅医療体制はさらに充実すると思われる。④少子高齢化社会が深刻化している今、産業に求められているのは生産性の向上と労働力の確保である。「働き方改革関連法」が施行されたことも追い風となり、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても 大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践する「健康経営」が広がりつつある。医療費という経費の節減のみならず、生産性の向上、従業員の創造性の向上、企業イメージの向上等の効果、また企業におけるリスクマネジメントとしても重要である。⑤後期高齢者へのフレイル予防対策が今春から強化されるが、若い時からのセルフケア意識の向上が同時に推進されなければ、元気後者を育成支援する効果は期待しがたい。地域包括ケアの理念である「地域づくり」と同様に、産業保健の分野でも「快適な職場づくり」を推進することが、世代を超えた地域包括ケアシステムの深化につながる。産業医やかかりつけ医がリーダーシップを発揮して、若い時からのフレイル予防対策を推進していくことが求められる。などのご意見をいただきました。これらを踏まえて、修正や追加を行うことで、概ねご了承いただきました。
一方総論部分は、江澤常任理事が思いのたけを込めて、理念やマインドにあふれる文書を書き上げられ、今回の委員会で提示され承認されました。2025年に向けたさらにそれ以降にも通じる「バイブル」的内容として、私も活用させていただこうと思っています。これからのスケジュールとして、2月上旬までに各委員から追加のご意見をいただくことにしており、それを踏まえて後は委員長一人で、答申書を完成させる予定です。平成30年の9月にスタートした当委員会、名前を介護保険から地域包括ケアに変えて、足掛け2年間の7回にわたる会を開催してきましたが、当委員会のアドバイザーとして無事任務を全うできたことに安堵したところです。


しかし大変ショックなことが続きました。平成24・25年の委員会から参加させていただいていますが、その時の委員長であり尊敬申し上げていた野中先生が昨年亡くなられ、さらに鹿児島県医師会から選出された、当分野に造詣の深く現委員でもあった鉾之原先生が、昨年の12月の会では発言されていましたが、今年に入って急遽ご逝去され、驚きと寂しさを隠せません。心からご冥福をお祈りするばかりです。

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