住民自らが地域を作る~あいとうふくしモール~

   

7月21日 梅雨明けの猛暑の中 住民自身が地域の共助を賦活化して地域づくりに取り組んでいる先駆的モデルを見せていただくために 滋賀県の愛東市にうかがいました。

この“あいとうふくしモール”とは 愛東地域において(あいとう) 暮らしに関わる全てのこと(ふくし) 様々な人や資源のつながりで地域の暮らしを支える場(モール) つまり「暮らしの中で困った時 あそこにいけば対応してもらえるだろうと思わせる場所」を意味するとのことです。本プロジェクトの核となる3事業所各々から 川副きよ子所長(NPO「あいとう和楽」 障害者支援のベテラン) 太田清蔵代表(NPO「結の家」ケアマネージャ 元社会福祉協議会) 村田尚子氏(NPO「結の家」訪問看護ステーション 看護師) 野村正次社長(株式会社あいとうふるさと工房 元行政マン) そもそもの仕掛人でありリーダーでもある4名の方に集まっていただいて 熱い思いを語っていただきました。IMG_0437

2009年 地域の多分野の有志が集まり 地域で安心して暮らせるための理想像「福祉モール構想」打ち出し 4年間かけて“妄想から構想へ”と話し合いを重ねて 2013年活動を開始し 現在進行形でさらなる構想の具現化に取り組んでいます。この目的共有を重視した話し合いの繰り返しが 多くの困難に打ち勝ち ぶれることなくこれまで突き進んでこられた原動力になっていると実感しました。

具体的には ①高齢者の働き実践 地域交流施設 ②福祉支援型農家レストラン ③地域で安心して暮らす応援拠点施設で これらが住み慣れた地域に根付いていくことが構想の核です。多分野連携は “創寄り~SOYORI~”によって 同志を募ることから始まりました。①行政にぶら下がらない ②プラス思考 ③手をつなぐ面白さを知っている が参加条件というのもユニークです。ここは いろいろな思いを持った個人や事業所が集まり それぞれの「特技」や「強み」「専門性」を出し合い つながり合い 助けあって 暮らしの課題に取り組み 心豊かな地域を作ろうという思いが詰まっています。さらに“拡大モール”の開催により 多職種が集まり情報交換を行う場を積極的に設けて 本プロジェクトへの理解や活動普及の促進を図るといった 住民主導の「多職種プラットホーム」が構築されていることに感銘しました。

IMG_0425 IMG_0433

住民が 住民自身の思いを大切にして活動を展開しようとすると 経営的な基盤の弱さから どうしても行政の支援を受ける必要性が生じるのですが 従来から住民に「してあげてきた」現状の補助金制度や各医療・福祉関連制度等の活用しにくい状況が露呈します。またNPO活動が安上がりのサービスの担い手であるかのような周囲の誤解等により 地域の先駆的モデル活動としての支援が十分受けられない実態があります。住民活動を活発化する必要性を痛感するなら 各制度の見直しや住民活動の理解など 行政意識の改革が先決のように思います。

本事例において 元行政マンや社会福祉協議会職員が 脱サラすることによって住民側の視点に立ち 志の高い住民と共に 共助と公助の距離を縮めることができたことは 大きな推進要因になっているのではないでしょうか。

この地域包括ケア時代に 多職種連携が強調され推進される中 住民参加にとどまらず 住民自身が多分野に声をかけ 明確な構想の設定の下 熱い“志”を共有して地域づくりに懸命に取り組んでいる事例を間近に見て まさに本物に出会えた喜びと このような事例をまだまだ普及促進できないでいる地域行政へのもどかしさの両面を痛感した次第です。

IMG_6760 IMG_6758

あいとうふるさと工房でいただきました。

 - その他