ヘルスプロモーション理念に返って~PRECEDE-PROCEED Model~

   

この図は、昨日、浜松医科大学の尾島俊之教授から、全国いきいき公衆衛生の会のメーリングで紹介されたものです。Green氏のプレシード・プロシードモデル(通称:みどりモデル)について書かれてある本(1999年)の中で、「実現因子」の説明のところで用いられている図です。

 ヘルスプロモーション理念を基盤に活動してきた“いきいき”のメンバーにとっては、懐かしくかつ今でも新鮮に通じる原点的な考え方です。「帰国者・接触者相談センターに電話が殺到して、住民の不満がつのる様子を表しているような図のためご紹介します。」とコメントが付け加えられていますが、COVIT-19に翻弄され、相変わらず振り回されている現状において、しっかり足元を見て取組んでいこうとの 尾島先生からのメッセージと受け止めました。

この図を見て、早速レスポンスがあったのは、このモデルをいきいきのメンバーに紹介しリーダーシップをとってくれた 藤内修二氏(大分県庁参事監)でした。

先生からのコメントは、「医療機関を受診するという保健行動を容易に実現するためには,アクセスしやすい良質な医療サービスが重要という例で示されています。今回の新型コロナ対策では,新型コロナウイルスの感染の疑いのある方が,早期に受診するという行動を実践してもらうためには,アクセスしやすく,質の高い相談が受けられるするという行動を実践してもらうためには,アクセスしやすく,質の高い相談が受けられることが必要なのですが,それが容易ではありません。保健所職員が昼夜を分かたずに頑張っていますが,全ての相談者を帰国者・接触者外来に紹介する訳にもいかず,苦労している状況です。第二波に向けて,こうした特殊な受診形態が本当に有効なのか,検証が必要と考える次第です。」とありました。


つい衝動に駆られて 私も書き込んでしまいました。

「保健所のご苦労に 心から敬意を表する次第です。こんな形でとは思いますが、保健所の重要性は 確かに国民や政治にも印象付けられました。
 しかし 医療体制においても同様なのですが、保健所の機能強化を図れば何とかなる・・・といった医療や保健行政に委ねる危機管理への方向性は  危険ですね。もちろん緊急時に対応できる適切な機能強化は必要ですが危機に備えた 日常の体制づくりが問われているんだと思います。
 急激な少子高齢化という危機管理に対応できる地域包括ケアシステム構築にも通ずる、救急や災害や感染症等の危機管理体制構築にむけてセルフケアや地域力の向上と並行して 日本独自のかかりつけ医体制やかかりつけ薬局・薬剤師等の本格的な仕組みづくりを急ぐ必要があります。
 これらヘルスプロモーション理念を基盤においたマネジメントが 公衆衛生の役割ではないかと痛感しています。 櫃本真聿 」

 これを受けて 岩室伸也氏(ヘルスプロモーション推進センター代表)から、早速レスポンスがありました。これも紹介させてくださいね。

「PRECEDE-PROCEED Model、本当に原点ですね。
 これまで様々なモデルや理論、考え方に接してきましたが、大事なことはそれらを理解することではなく、自分たちの活動を考える上での道しるべにすることだと思えるようになりました。

 藤内先生や櫃本先生が指摘されたように「早期受診で質の高い相談が受けられる日本独自のかかりつけ体制」の参考になるかわかりませんが、今回、HIV/AIDS診療をしている医師も新型コロナウイルスに感染した人を診断していますが、対応に困ったという声はありませんでした。
 HIV/AIDSの場合は患者は医者を、医療機関をなかなか選べないという問題がある一方で、主治医になった人は、私を含め総合医的に認知症や薬物依存など、様々な問題に対応しています。

 裏を返すと、HIV/AIDSの時は「診てくれる医者に」、新型コロナウイルスの時は「保健所に」丸投げをしているだけなのが感染症の流行初期の日本の現状です。
 私もHIV/AIDSの初期の頃は混乱状態でしたが、今ではHIV/AIDS診療医というより総合医として患者さんの生き方を一緒に考える医療者に少しずつ近づいているように思います。
 保健所も大変でしょうが、医療機関を巻き込んだ支援体制を構築していただければと期待しています。」

              

              

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