櫃本真聿の今の活動② ~正光会宇和島病院の非常勤医師として~

      2023/09/10

大学病院を早期退職して7年半が経過しました。大学退職後には、常勤先をどこに置こうかとも考えましたが、それまで県行政と大学という公務員生活が大半を占めていましたので、フリーランスには不安もありましたが、一方で「自由に自分らしく」が実現できるワクワク感もありましたので、結局は現在の道を歩むことにしました。櫃本真聿の現在の活動を、折に触れて発信したいと思います。

今回ご紹介する正光会宇和島病院(精神科専門:現:山内宏治院長)ですが、出会いは40年前にさかのぼります。昭和58年(私が28歳)、愛媛大学の助手から宇和島保健所に赴任してからです。今となっては時効ですが、宇和島病院の医師不足を少しでもカバーできたらと、週一ぐらいで当直をして(させられて)いました。そもそも卒業時、内科(循環器)、公衆衛生、精神科の3択でしたので、精神病院には違和感はありませんでしたが、振り返れば当時の病院は今と比べて・・・想像を絶する状況でしたね。大変貴重な勉強をさせていただきました。

 それから2年後、急遽お隣の地域である南宇和郡(現在愛南町)の御荘保健所長として赴任することになりましたが、当保健所活動の柱となった精神保健活動は、同じ正光会の御荘病院(精神科専門:当時渡辺三郎院長、現:長野敏宏院長)との協働によるものでした。今もその地域の精神保健活動は、全国のメッカ的存在として展開されています。

 その後愛媛県庁時代も健康増進課長として精神病院を所管していましたし、愛媛大学に戻っても、アルバイト先としてずっと関係を継続させていただきました。大学の退職を決意した時、正光会への常勤も考えましたが、結局は週1の非常勤医師を選択しました。

私の活動の半分を占める産業医としての活動ですが、メンタルヘルス対応が求められている現状において、ここでの勤務は大きな支えとなっていることは間違いありません。精神科の専門性ではなく、総合診療的なアプローチとなりますが、病棟を担当させていたき、外来等診察もさせていただき、周囲の支援と患者さんのお陰で、毎回勉強と刺激の機会をいただいています。

 宇和島病院は、ご多分に漏れず昨今の厳しい経営状況においても、地域に根付き、住民ニーズに懸命に応えられるよう努められています。同地域の市立病院と同様に、「自分たちの病院が支えなければ誰が支える」といった精神で、都市部で見られる病院都合の患者選択の傾向はありません。しかし、患者を地域に返せる受け皿に乏しく、病院で抱え込まざるを得ない実情があり、ついついミゼラブルな気持ちになります。

週1の医師の私とは違って、常勤のスタッフの心労は大変だと感謝しながらも、いろいろ発言させていただいており、ありかたいと思っています。

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