医師が患者になって気づいたこと

~前立腺肥大症とウロリフト手術を体験して~
医師が患者になることの意味
今回、私は患者として入院し、前立腺肥大症に対する「ウロリフト(UroLift)」という治療を受けました。
医師になって長年、多くの患者さんを診療してきましたが、自分自身が入院し、検査や手術を受ける経験は決して多くありません。
だからこそ、今回の体験は、医師としても一人の人間としても、大変貴重な経験となりました。
前立腺肥大症とは
前立腺肥大症は、加齢とともに多くの男性にみられる病気です。
前立腺が大きくなることで尿道が圧迫され、
・尿が出にくい
・夜中に何度もトイレに起きる
・排尿に時間がかかる
・残尿感がある
・急に尿意を感じる
といった症状が現れます。
命に関わる病気ではありませんが、日常生活の質(QOL)を大きく低下させる病気でもあります。
私自身も、少しずつ排尿の変化を感じるようになりました。
さらに、前立腺がんの検査であるPSA値も徐々に上昇していたため、定期的な検査を受けながら経過をみてきました。
前立腺がんと前立腺肥大症は別の病気ですが、PSAが高くなる原因には両者があるため、きちんと評価を受けることが大切です。
今回選んだ「ウロリフト」という治療

今回私が受けたのは、「ウロリフト(UroLift)」という比較的新しい低侵襲治療です。
肥大した前立腺を切除するのではなく、小さなインプラントを用いて前立腺を左右に引き寄せ、尿道を広げることで排尿を改善する治療です。
前立腺を切除しないため、
・身体への負担が少ない
・出血が少ない
・術後の回復が早い
・性機能への影響が比較的少ない
といった特徴があります。
すべての患者さんに適応となるわけではありませんが、適応があれば非常に有用な選択肢の一つです。
手術当日
今回は腰椎麻酔で手術を受けました。
手術そのものは比較的短時間で終了しましたが、患者として手術室へ向かう時には、やはり少なからず緊張しました。
普段は患者さんに「大丈夫ですよ」と声をかける立場ですが、実際に自分がベッドに横になると、その言葉の重みを改めて感じました。
医療スタッフの何気ない一言や優しい対応が、どれほど患者の安心につながるのかを身をもって実感しました。
患者になって初めて分かったこと
今回一番感じたことは、「患者さんは想像以上に不安を抱えている」ということです。
手術そのものだけではありません。
検査を待つ時間。
麻酔を受ける時間。
結果を聞く時間。
入院生活の中でのちょっとした出来事。
医療者にとっては日常でも、患者さんにとっては一つひとつが大きな出来事なのです。
医師として、その不安にもっと寄り添える存在でありたいと改めて思いました。
医療は「治す」だけではない
今回の入院で改めて感じたのは、医療は病気だけを診るものではないということです。
患者さんの不安や期待、生活背景、家族への思いまで含めて支えることが、本来の医療なのだと思います。
今回の体験は、私自身の診療にとって大きな財産になると感じています。
これから
退院後は、回復の経過や排尿の変化、日常生活への復帰、そしてゴルフや仕事への復帰についても、このブログやYouTubeで率直にお伝えしていきたいと思います。
患者として感じたことを、医師としての視点と合わせて発信することで、これから治療を受ける方やご家族の不安を少しでも和らげることができれば幸いです。
医師である前に、一人の患者でもある。
今回の経験を、これからの医療に生かしていきたいと思います。