理事長の病院理念追求マインドが　地域包括ケア時代の「地域密着型病院」を創る～甲南病院（滋賀県甲賀市）のチャレンジ～

2016/08/12

地域ケアシステムを実現するために　地域の急性期医療を担う一方で　生活に戻すための医療のあり方を地域で追求している「甲南病院」の視察に　忍者の里で有名な滋賀県甲賀市に行って参りました。併せて当病院が主催する「地域包括ケアを実現するための研修会」で講演しました。

視察冒頭の挨拶から　渡田正二院長および古倉みのり理事長の　生活を重視した医療の展開を病院の理念として進めていきたいという熱いメッセージがひしひしと伝わり　数ある病院の中から滋賀県が視察地として選択した理由がすぐに了解できました。理事長の理念追求に共感した病院幹部が　まさに課題解決型ではなく目的達成型のマネジメント機能を発揮して　病院スタッフや関係機関へ　理念実現のためのエンパワメントを図っていました。トップハンティングにより　ベテランかつ熱い看護師の藤野美代子氏を　副院長として招き入れ　看護師の意識改革と役割の強化を突破口とするため　看護体制や人材育成の思い切った見直しを行ってこられました。その努力が実を結んだと言うことでしょうか　懇談会に参加した各部門の看護師幹部達は　理事長や院長に勝るとも劣らない　生活重視の取り組みに　熱意と誇りを持って　各先駆的取り組みを説明していただきました。素晴らしい！！　在宅医療への関わりを病院の理念実現の核としており　理事長や院長自ら在宅訪問に主体的に参画しています。また院長がセンター長となり在宅医療支援（研修）センター“こうなん”を付設して　地域の先駆的モデルの開発として　また人材育成センターとして充実強化を図っています。そもそもこれまで　全国各地の訪問看護STや介護STは　急性期病院の”つけ”を受け入れて　患者のためにと言う熱い思いの中で　経営状況や待遇面も厳しい中　必死で取組んでいます。甲南病院では　病院スタッフを積極的に訪問に同行させ　訪問看護や介護がゆとりを持って在宅支援ができるよう　病院スタッフが変わるための在宅医療支援（研修）センターとしても活用しています。

病院の看護師が変わる　医師をはじめ病院スタッフが変わる　そして患者が変わる　その結果として地域全体が変わることを　甲南病院は目指しています。とかく診療報酬に誘導されて　在宅医療や地域連携への取り組みが進められるのですが　病院理念に基づいて　診療報酬の先取りで　ある意味経営を度外視して　取組んでいる甲南病院。地域密着型病院の先取りとして　まさに本物を見せていただいたと感無量です。

私の役割はこの病院の取り組みがこれからの地域密着型の病院のモデルとなり得ることを　広報することにあり　あえて私からアドバイスする必要性は無いと思いました。

午後からは　地域包括ケアシステムを実現するための研修会が行われ　会場いっぱいの約300名参加のもと　中島武嗣甲賀市長の挨拶を皮切りに　私も講演させていただきました。テーマは「多職種連携で私たちが今すべきことは～元気高齢者を育成支援する地域づくり～」で　ヘルスプロモーション理念やソーシャルキャピタル醸成を熟知した上で　生活に戻すこと　元気高齢者の育成支援を　地域包括ケア時代のゴールとして共有し協働することを　甲南病院の先駆的な取り組みに対してエールを込めてお話しさせていただきました。中島市長さんも最後まで聴講され　医師会や歯科医師会等の参加もあり　この地域おもしろいぞ！！　古倉理事長が「今日が新たなスタートです！」と何度も言っておられました。これからの進捗をしっかりと見ていきたいと思います。